MENU
【正月飾り】しめ飾りを手作りしてみたの画像
【正月飾り】しめ飾りを手作りしてみた
2025.12.12
今年もまた「正月事始め」の日がやって来た。
今回は「しめ飾り」にチャレンジ。数々のトラブルに見舞われながら奮闘する様をお届けしよう。
ライター:イグチ アイコ
そもそも「しめ飾り」とは何なのか
明日は12月13日。「正月事始め」である。
正月事始めとは「正月に神様をお迎えするための支度を始める日」であり、昨年はミニ門松作りにチャレンジした。
実は昨年、もう1つ作りたいものがあったのだが、手間がかかりすぎるのと材料が手に入らなかったため断念したのだった。
それが「しめ飾り」である。
正月に玄関のドアなどにくっつけるアレだ。たまに車に付けて走っているのも見かける。
誰もが一度は目にしたことがあると思うが、アレは何のために飾るものなのだろうか?

しめ飾りを知るには、まず「しめ縄」を知る必要がある。この2つが違うことすら知らない人も多いことだろう。
「しめ縄」とは、神様の領域と人間の領域を隔てる結界である。
神様が居る場所や通り道に張ったり、御神体自体を囲ったりすることで、神聖な場所や物であることを示しているのだ。

諸説あるそうだが、有名な古事記の一節である天照大神がこもった天岩戸にしめ縄を張ったことが起源であると言われている。

しめ飾りとの大きな違いは華美な縁起物を飾らず、飾る期間を限定せずに常に張るものであるそうだ。

ちなみに漢字は「注連縄」「七五三縄」「〆縄」などいくつか種類がある。
一方「しめ飾り」はしめ縄に縁起物を飾り付けたもので、普段は人間の領域である住居に正月の時期だけ年神様を迎え入れるために飾る。
そのため主に玄関に飾ることで「この家の中は清浄ですよ」と伝えるのだそうだ。

飾る日は12月13日以降ならば良いそうだが、12月29日は「二重苦」を連想させ、12月31日は「一夜飾り」と呼ばれ葬式を連想させるため、その2日は避けるように言われている。
外す時期は地域により様々だが、どんど焼きの際にお焚き上げするのが一般的。

形は地域により様々で、よく見る輪っか状の縄から藁が下がったもの、輪っかだけのもの、神社のしめ縄のように横に張った縄から藁を下げたものなどがあり、名前も「玉飾り」「ゴボウじめ」「大根じめ」「宝章飾り」など色々ある。
岩手県内でも地域によって異なるようなので、今回は東北や関東で一番メジャーな「玉飾り」というタイプに挑戦しようと思う。
飾り(縁起物)の種類と意味
しめ飾りに付ける縁起物も地域により様々だが、基本的な飾りは以下の4種とのこと。
・ウラジロ
葉の裏が白いシダ植物。
2枚の葉が対になって出ることから「夫婦円満」、葉裏の白さから「清らかな心」や白髪から転じて「長寿」の意味がある。

・ユズリハ
春に新しい葉が出ると、バトンタッチするように古い葉が落ちる常緑高木。
その性質から「家が代々続く」の意味がある。

・橙(だいだい)
現在はポン酢の材料などに使われている柑橘類。
名前が「代々」の響きと同じことと、実を収穫しないままにしておくと数年落ちず実り続けることから「一族繁栄」の意味がある。

・紙垂(しで)
しめ飾りに限らず、しめ縄・玉串・祓串・御幣などの神事に用いるものに付けられる紙。(昔は布だったらしい)
「神聖・清浄・魔除け」といった意味のほかに、折った形が稲妻に似ていることから「豊作」の意味を持つこともある。

ただ、これらはあくまで一例。ユズリハは温暖な地域の植物なので岩手では基本生えないそうだし、ダイダイも見たことがない。要は縁起が良ければ何でも良いようである。
長寿の意味を持つ「海老」「松」「鶴」、魔除けや厄除けの「南天」「水引」、開運や招福の「扇」「おかめ」「宝船」……あたりが一般的だろうか。
一部の地域では「昆布」「煮干し」「干し柿」などを飾ることもあるらしい。
最近のオシャレなしめ飾りなんかを見ると、季節ガン無視の造花が使われていたりしていて、もはや無法地帯である。
まぁ昔からよく縁起物とされている「鯛」だって「めでたい」との語呂合わせ…言ってしまえばダジャレだ。飾る人にとって縁起が良いものなら良いのだ。万馬券でも飾れば最強のしめ飾りになることだろう。
しめ縄を作る
この手のチャレンジをする際はいつも、身近な野山から調達したものを使ってきたのだが、昨年の門松作りの際に見つけた素材の中には縄を綯(な)えそうなものは見つけられなかった。
そのため、今回は身近な人に声をかけて調達を試みたところ、母の職場の方から稲藁を譲ってもらえることとなった。感謝。
本来はまだ青い稲を乾燥させてしめ縄とするそうだが、声をかけた時期が既に稲刈りが終わる時期だったため、今回は収穫後の稲藁を使わせてもらう。
左:袴を取る前 右:袴を取った後
そのままだと袴(薄い皮)が付いていてボサボサなので、片手で掴みやすい量ずつ手に取ってしごいたり擦り合わせたりしながら余分な袴を取っていく。
少し表面を水で湿らせると、藁がまとまりやりやすくなる。

参考で見た動画の1つでは袴を取っていなかったので、完璧に取る必要はないようだ。ある程度整えられればOK。
だがこの工程があった方が、その後が楽になるしキレイに仕上がるだろう。
整えた稲藁は、だいたい7:3ぐらいの割合で2組に分け、多い方を縄にして少ない方を輪から下げるために使う。
縄にする方の稲藁の根本の方から約10cmほどの位置で紐で結び、先の方を三つ編みを作る時のように3グループに分ける
3つに分けたうちの2グループを右回りに捻り、この2本を左回りに巻き付けて綯っていくわけだが……
稲藁の元に戻ろうとする力がすごく、あまりまとまってくれない。息を切らしながら捻っていたところに母が一言。

「これって叩くんじゃなかった?」

そうであった。まずは叩いて柔らかくする必要があった。
木槌が見つからなかったので金槌で……
ぎこちなく叩いていたら見かねた父が奪って叩いてくれた。なるほど槌を横向きにすれば満遍なく強すぎない力で叩けるのか。
米農家出身の父は子供の頃、この叩く工程を手伝っていたそうだ。

では改めて、縄を綯っていこう。
まずは2本を右回りで捻り、捻った2本を左回りに綯い合わせていく。
写真だと伝わらないかもしれないが、叩く前と叩いた後では手応えが全然違った。しっかりまとまっていく感じがする。
2本をまとめ終わったら一度先を紐で結んで仮止めし、残りの1本をさっきと同様に右回りで捻ってから、先の2本に左回りで巻きつけていく。
不思議なことに3本目を巻きつける際、自然と先の2本の窪みにおさまるように巻きつけることができた。
ちなみに何故いちいち巻く方向を書いているかというと、日用品の縄は右綯い神事に使う縄は左綯いと決まっているからだ。
これでひとまず「しめ縄」の完成
飛び出した部分はハサミで切って整えて、次は輪の形にして飾り用の藁と合体させる。
輪にしたらまず1箇所紐で結び、飾り用の藁を挟むような形でもう1箇所を結ぶ。
結んで固定したら、飾り用の藁は根本と穂先を切り揃える
これで玉飾りの土台が完成した。これだけでも呪物感があってかっこいい。
野山から縁起物を集める
次は飾りにする縁起物を集めていく。
父が「家の近くの山でウラジロを見たことがある」というので、ウラジロを探しつつ他に飾りにできそうな植物を探していこう。
まずは昨年の門松でもお世話になった「マツ」。昨年よりちょっと大きく成長していて、月日の流れを感じる。
お店で購入した方がはるかに楽だが、こういうことを感じられるのが自分で調達することの良い点だ。
松ぼっくりも良いアクセントになりそうなので集めておこう。
道中いくつか青々とした葉が付いた植物を発見。
冬になっても緑の葉を付けた植物はよく縁起物になっているイメージがある。種類は後で調べるとして、とりあえず片っ端から緑のものを採取。

さて肝心のウラジロだが、この「冬でも緑のものは縁起物」というイメージから、勝手に今の季節でも緑のシダ植物はウラジロだろうと思い込んでいた。
上の写真はワラビだが、ワラビは冬になるとすっかり枯れてしまうことは知っていたので、シダ植物も基本的には冬は枯れるものだと思っていたのも理由の1つだ。
と同時に、冬場でも緑のシダ植物が生えている場所は知っていたので、きっとそれがウラジロなのだろうとよく調べもせずに行ってみたところ……
いっぱいあった。いろんな種類のシダ植物が。
少なくとも3〜4種類くらいはありそうで、片っ端から裏返してみたのだが……
確かに表よりはちょっと白っぽく見えなくもないが…縁起物となるほどハッキリとした特徴とは言えず……

とりあえずいくつか採取し、帰宅後に改めてウラジロについて調べてみた。
結果、ユズリハと同様に温暖な地域の植物であり、岩手には生えていないことが分かった。
父の「近くの山で見た」という証言は何だったのか。怪奇現象だったのかもしれない。

怪奇現象といえば、この野山での採取の際に少し怖いことがあった。
行きは何も異変がなかった場所が、帰りに同じ道を通ろうとしたところめちゃくちゃ臭くなっていたのだ。
クマに遭遇したことが無いので、よく聞く獣臭さというのがどういうものか分からないが、今まで野山を歩いていてこんな現象は初めてだったので道から外れて田んぼの畦道を通って帰ったのだった。
あれはクマなどの野生動物の匂いだったのか、はたまためっちゃ臭くなるタイプの怪異だったのか……

話を戻そう。
種類も分からないままに集めてきた「緑の植物たち」も調べてみた。
この小さい葉がいくつも付いたものは「アリドオシ」らしい。
里山連載の記事の方で紹介した「ツルアリドオシ」は地面に這うように伸びる蔓植物だったが、こちらは低木。
関西ではセンリョウ&マンリョウという植物と共に正月の縁起物として飾るそうだ。
こちらの柊のようにギザギザした葉をしたものは、最初AIには「マンリョウ」と言われたのだが、おそらく「アオキ」ではないかと思う。
生命力の象徴であり、風水などでも縁起が良いとされているようだ。
そしてこちらは「マサキ」と思われる。アオキ同様に生命力の象徴とされているようだ。

読み通り、冬でも緑の植物はだいたいどれも縁起が良いらしい。
ウラジロは残念な結果に終わったが、裏が白くなくとも緑なだけで十分縁起物と言えるだろう。
その他の縁起物を用意する
次は植物以外の縁起物を用意していこう。まずは紙垂(しで)から。
材料とする半紙を家の中から探す。
こんな半紙を発掘した。岩手専用の書き初め用半紙。なんだこれは。
どうも母が昔、書道教室に通っていた際にもらったものらしい。初耳だった。
少し日焼けしてしまっているが、これもまた良い味になるだろう。

何に使うのか聞かれたので「紙垂を作るのだ」と答えたところ、父が「昔知り合いから型をもらった」というので探してもらった。
それがこの切れ込みの入った板である。
事前にネット上で調べた際にはまっすぐに切り込みを入れる図が出て来たのだが、この型の切り込みは斜め
型はもらったものの、使い方は覚えていないというので、とりあえず一般的な作り方も参考にしながら作ってみた。
2つに折った半紙を型のサイズで切り抜き、型の溝に合わせて切り込みを入れ……
あとは一般的な紙垂と同じように折ってみた。やけに歪な形となったが、これで合っているのだろうか……?
もう型を譲ってくれた方とは交流がなく、ネットで斜めの紙垂について調べても何も出てこないため真相は闇の中である。
もしこのタイプの紙垂についてご存知の方が居たら、ぜひ教えていただきたい。
扇は筆者宅にはやたら千代紙があるので、コピー用紙に千代紙を貼り付けて手作りした。
母が
私自身も一度作ってみたのだが、幅がまちまちで悲惨なものが出来上がったので折り紙が得意な母にお願いしたのであった……。

あとは水引も付けたい。昨年の門松では金と銀の紐で手作りしたが、今回はもう少し赤色が欲しいところ。
ということで赤色の水引を買いに行ったのだが……
売ってなかった。シーズンだから売り切れてしまったのかもしれない。
ふと隣の売り場を見ると、紅白の水引が付いたしめ飾りのコーナーが……
しめ飾りの材料を得るためにしめ飾り自体を買うという暴挙。
100均とはいえ、組み立てた人もまさか購入して早々にバラされることになるとは思っていないだろう。申し訳ない。
飾り付け
さて材料が揃ったので、いよいよ飾り付けをしよう。
まず飾り用の藁を挟んだ部分に、マツの枝も差し込んだ。
そして紙垂をS字フックで刺して止める。なぜS字フックなのかは後ほど説明しよう。
ちなみにこのフックはベーコンを作る際に使う肉を吊り下げる用のフックである。
あとはあらかじめ配置を決めておいた飾りをグルーガンで接着していく。
じっくりと工程をお見せしようかと思っていたのだが、グルーガンを使うのが初めてだった筆者。どんどん溢れる液体に慌てふためき、撮影する余裕がなかった。
四苦八苦しながらもなんとか形に。歪だと感じていた紙垂も、対にするとなかなかかっこいい形となった。

さて紙垂を止める際に使用したS字フックだが、これは最後に橙の代わりとしてミカンを刺すためのもの。
今から半月以上飾るとなると、生のミカンでは腐ってしまう。そこで着脱可能な状態とし、定期的に取り替えようという我ながら画期的なアイディアだ。天才!

ということでミカンを付けて完成としよう。
重すぎた。

どの角度で刺しても下を向いてしまう。おまけに皮が薄くてどんどん穴が広がり、汁まで出てくる始末。最後の最後で思わぬ誤算である。

更なる代わりとなるものが無いか、考えた結果……
スーパーで見つけたオーストラリア産「マーコット」
オレンジ類とミカン類の交雑種だそうで筆者は初めて見たのだが、すでに正月飾りとしてよく使われているとのこと。
ミカンより小ぶりで、皮も少し固め。これならいけるかもしれない。
できた……!!!!!
なかなか豪華で見栄えのするしめ飾りとなったのではないだろうか!!
よく見ると所々、溶けきらずに糸状になったグルーガンが蜘蛛の巣のようになっているが、それもまた手作りの味というもの。
皆さんもぜひ時間があったら、自分なりの素材で手作りしてみて欲しい。

以上、ドタバタしめ飾り作りの様子をお届けした。今年のイグチ家の正月はオーストラリアの風が吹くことだろう。
それでは良いお年を!!!
イグチ アイコの画像
岩手で生まれ、岩手で育ち、岩手の野山でキノコなどを探して徘徊している妖怪。主に山の話をします。本当はインドア派。
最近釣りも始めて休みがいくらあっても足りない。夢は定年退職。
  • Twitter
関連記事
テレビ岩手イチオシ!
テレいわ屋は「旬」の情報を発信中!
岩手のグルメ・観光スポット・イベント情報・おすすめのレシピなどをお届けします。
ブックマークやホーム画面に追加して情報をチェックしよう!
  • Twitter
  • Instagram