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夏のレジャーに!キスを釣って食べよう
2025.07.24
里山と釣り大好きライターによる連載「とてちてくうべし」では、食材を採るところから食べられる状態にするところまでの様子を紹介していく。
今回は連載初の釣りネタ。「キス」の釣り方、下処理、おすすめの食べ方を初心者目線で紹介しよう。
※下処理や調理の方法は家庭で楽しむことを前提としております。販売等を行う際の参考にするのはおやめください。
※天然のものを口にする際は自己責任でお願いします。
ライター:イグチ アイコ
キスを釣ろう
これまで山菜ばかり扱ってきたこのコーナーだが、今回のテーマは「キス」。初の釣り回である。
先に断っておくが、筆者はまだ釣りを始めて1年ちょっとしか経っていないペーペーだ。逆に言えばその程度の経験でも簡単に釣れるのが、夏のキス釣りの魅力でもある。

この先少しだが釣り用語も出てくるので、全く釣り経験が無いという人はこちらの記事も参考にしてほしい。
キスは実は1年通して釣ることができる魚。しかし夏以外の季節は岸から離れた場所にいるので、遠投や船を出す必要がある。
初心者ならば7〜8月、キスが大きな群れとなり浅い場所に集まる時期を狙うと良い。
釣る場所は「砂浜」を選ぼう。そして確実に釣りたいなら日本海側をオススメする。
近年は温暖化の影響で岩手でもキスが釣れるようになったそうなのだが、岩手は砂浜がそもそも少なく、その限られた砂浜も海藻などの障害物が多く根掛かりしやすいので初心者には難しいとのこと。
遠出することにはなるが、幸い夏のキスは真昼間でも大量に釣ることができるので、頑張って明け方や夕方を狙う必要はない。

とはいえ日本海側であっても、どこの砂浜でも障害物が無いということではないので、現地の釣具屋さんに聞いたり他の釣り人の様子を見ながらポイントを選ぶと良いだろう。
また、海水浴場となっている場所は避けた方が良い。人の近くで竿を振って事故になるのはもちろん、万が一根掛かりして海中に針が残ってしまったら非常に危険だ。

天候は数日間の天気当日の風を確認しよう。
キスは水の濁りを嫌う魚のため、数日前に大雨が降ったりしていると川の水が大量に流れ込んで濁ってしまう。波のうねりも嫌がるので、無風に近い穏やかな日を選ぶと良い。
次はタックル(釣具)について。
筆者は普段、岩手で釣りをする時はアジやメバル用のロッドを使って1g前後の仕掛けを投げているのだが、キス釣りの時は30gほどの重いオモリを投げるので、もう少し丈夫なシーバス用のロッドを使用する。ロッドに通すライン(糸)はPEラインを使用。

針やオモリの仕掛けは、「キス用」として売られている投げ釣りセットを買うと良いだろう。
このような小さな針が3つ付いた糸と……
こういう「天秤」と呼ばれる仕掛けが入っている。(※セットによって内容は様々)
この写真のタイプならば、左上の輪っかにロッドに通したラインの先を結び、右側の赤い部分の先にある輪っかに3つの針が付いた糸の金具を付けて使う。
餌でオススメなのは「イソメ」だ。
食いつきやすさで言えば、もう一回り小さな「ジャリメ(イシゴカイ)」の方が良いそうなのだが……鮮度が落ちてくると少し触れただけでブチブチと千切れてしまい、餌を使い慣れていない私は大変難儀した。(クーラーボックスに入れておくなど、冷やしておくと鮮度を保ちやすい)

イソメは太いので針に刺しやすいし、胴体を2cmほどに切ってしまえば十分キスが食いつけるサイズになる。
切った時の暴れ具合や、断面からなんかいろんな色の汁が飛び出す様はなかなか壮絶だが……

それを聞いて断念しかけた人も安心して欲しい。「パワーイソメ」というイソメ型の擬似餌も売られている。
さすが本物の餌に比べると食いつきは悪いが、ちゃんとキスを釣ることができた。
全ての針に細切れイソメを付けたら、周りに十分注意してからフルキャストでぶん投げる。(安全にキャストするには練習が必要なので、未経験者ならば経験者に投げてもらうという手もある)
水深が浅くオモリも重いためすぐ着底するので、ほぼ待たずに巻き始めてOK
「1・2・3・ウン、1・2・3、ウン……」と心の中で唱えながら、数字1つにつきリール1巻き、「ウン」で一呼吸巻くのを止めるのを繰り返し、ゆっくりと巻き進める。

キスはアタリが分かりやすいので、群れがいる場所さえ通ればすぐに食いついて来たことが分かるだろう。そして初心者にありがたいことに“合わせ”をする必要もない
アタリを感じても焦らず、そのままのペースでゆっくり巻き続けていれば……
うまくいくとこのように、3つの針全てで釣ることも可能!
アタリがあるのにかかって来ない場合は、少しリールを巻くのを止めて食いつくのを待ってみるのも良いだろう。ただ、あまり長く止めると1匹のキスが2つ以上の針を飲んでしまって外すのが大変になることもあるので気をつけよう。

ちなみに砂利が多い浜だった場合、オモリが砂利に当たる感触が初心者にはアタリに感じてしまうこともある。アタリがあるのにいくら投げても釣れない場合は場所を変えよう。
針を飲まれてしまった場合は、こういう針を外すための道具もあるので用意しておくと良いかもしれない。……私はまだ、これを使っても上手く外すことができないが……
リリースせずに持ち帰るキスについてだが、血抜きをしなくても良いというのも初心者に嬉しいポイント。
写真のようにジップ付きのビニール袋に入れた上でクーラーボックスの中に入れておけば、クーラーボックスを汚したり臭いを移すこともなく鮮度を保つことが出来る。(あらかじめクーラーボックスには氷や保冷剤を入れておこう)
下処理の仕方
次は持ち帰ったキスの下処理の方法。釣るのは簡単だが、小さいくせにウロコや骨がしっかりしているので下処理は結構面倒な魚である。
まずは水を流しながら、尾ビレから頭に向けて逆撫でするようにウロコを取っていく。写真ではナイフの背を使っているが、ウロコ取りの道具を使った方がはるかに楽。
ちなみに水を流しておくのには、効率良く作業できる他にウロコが飛び散るのを防ぐ効果もある。
写真の上がウロコを取る前で下が取った後なのだが、見た目では違いがほとんど分からない。魚体を満遍なく手で撫でて、ザラつく場所が残っていないか確認しよう。
特にヒレの周りに残りやすいのだが、胸ビレの付け根のエラの部分が鋭利になっているので、撫でた時に指を切らないように。
ウロコが取れたら頭を落として身を開く。筆者宅にあるいろんな包丁やナイフを試してみたが、うちにあるものでは写真のような出刃包丁が一番楽にさばけた。
さばくのに時間がかかるほど身が脆くなってボロボロになってしまうので、あらかじめ包丁をよく研いでおくと良い。
頭を落とす時は、写真左のように背から刃を入れてエラや胸ビレごと取り除こう。
この際、腹側の皮1枚残す感じに止めて、引っ張るように包丁を動かすと、上手くいけば内臓も一緒にズルッと付いてくるので後の工程が楽になる。
次は背開きにしていくが、最初に刃を入れる場所をミスると上手くいかなくなる。
頭を切った断面の方は、背骨の太いところの上側から刃を入れつつ少し斜めに切り込む。背の方は背ビレの上側に切り込みを入れ、断面に入れた切り込みと繋げよう。
慣れれば断面側から刃を入れるだけで背骨に沿って切れるようになるが、不慣れな人はこの2段階でやった方が上手くいく。急がば回れだ。
切り込みを入れたらその部分に刃を入れて、刃先で背骨を感じながら背中側に刃をスライドさせて尾の辺りまで切る。骨が丈夫なので、しっかり刃を寝せて背骨の手応えを見失わなければ、初心者でもキレイに切れるだろう。
反対側も頭の断面の方から、背骨の下に潜り込ませるように刃先を入れて、背骨に沿って刃をスライドさせていく。
この時、太い背骨の下にさえ刃が通っていれば、刃先の方は貫通させなくても大丈夫だ。わずかに繋がった身は、手で背骨をペリペリと剥がしてやるだけで簡単に剥がれる。
あとは腹の部分に残った内臓を洗い流して完了。
取り除いた背骨は、これも立派なおつまみに変身するので捨てずに残しておこう。血合いが多く残っているようならブラシなどで擦って取り除いておくと良い。

刺身にする場合はここからさらに皮を剥く工程があるのだが、筆者の腕ではまだキレイに剥けないので割愛させていただく。
おすすめの食べ方
刺身
皮を剥ぐ腕前があるならば、ぜひ刺身を試してもらいたい。
プリプリを通り越してコリコリと言いたくなるほど引き締まった身の食感がたまらない。
天ぷら
キスと言ったらやはりコレ。サクサクの衣にフワフワの身、これが家で食べられるなんて最高!
だが夏場に揚げ物をするのはちょっとしんどい。
アヒージョ
簡単で暑い日の調理もしんどくない料理が良いならコレ。
キスと一緒にニンニク、鷹の爪、好きな野菜やキノコを鍋などにぶち込んで、たっぷりのオリーブオイルと塩コショウをかけたら蓋をして蒸し焼きにするだけ。
バゲットに乗せれば、キスや野菜の旨みが溶け込んだオリーブオイルが染み込んで最高に美味い。
これなら釣ったその場でキャンプ飯!なんてことも可能だ。
骨せんべい
捨てずに残しておいた背骨は、ぜひ骨せんべいにしてみて欲しい。
一夜干しにしてから170℃程度のオーブンで2分ほど熱する(温度や時間はオーブンにもよるのでときどき様子を見ながら)。
これだけで、サクサクで噛めば噛むほど味が染み出す絶品おつまみの完成だ。

さばくのに不慣れなうちは骨側に身が多く残ってしまって落ち込むが、それを骨せんべいにするならばむしろラッキー☆
ちなみに一夜干しをしないでオーブンの熱だけで作ろうとしたところ、40分近くもかかったのでオススメしない……。


以上、今回の「とてちてくうべし」はキスの釣り方・食べ方をお送りした。
水の事故には十分に気をつけながら、夏のレジャーを楽しもう。
イグチ アイコの画像
岩手で生まれ、岩手で育ち、岩手の野山でキノコなどを探して徘徊している妖怪。主に山の話をします。本当はインドア派。
最近釣りも始めて休みがいくらあっても足りない。夢は定年退職。
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