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#17 いわて里山散歩|2025年9月の画像
#17 いわて里山散歩|2025年9月
2025.10.03
里山大好きライターの不定期連載「いわて里山散歩」。
今回は2025年9月の里山のキノコ・植物などの様子をお届けしよう。
※天候や大人の事情で更新が滞る可能性があります。ご了承ください。
※筆者はキノコ/山菜の専門家ではありません。この記事の情報だけでキノコ/山菜の同定を行うのは絶対におやめください。
ライター:イグチ アイコ
なんだか今年はダムの写真からスタートすることが多い当連載。
特別ダムに注目しているわけではないのだが、今月もすごい景色に遭遇したので、やはりダムからスタートさせてもらう。
2025.9.6の入畑ダム
こちら、北上市の夏油高原に向かう途中にある入畑ダムの9月上旬の姿。
これはもはやダムではない。小川だ。
ここの湖畔ではよくSUPを楽しんでいる人を見かけるのだが、今年の夏は全くできなかったことだろう。

筆者宅周辺の田んぼでは一見、順調に稲が穂を付け稲刈りが進んでいるように見えるが、実入りが悪い地域もあると聞く。
少しでも多くの秋の収穫が祝えることを願うばかりだ。

一方山の様子はというと、朝晩の気温がグッと下がりいよいよキノコの最盛期が到来した。
お馴染みのものから初対面のものまで、たくさんのキノコを見つけることができたので張り切って紹介しよう。
9月のキノコの様子
まずは先月もチラホラと顔を見せていた「ヤマドリタケモドキ」だが、今月は大発生!
筆者が見回る場所では、過去イチの収穫となった。
しかもこんなに大きくなっても傘裏が白いままという、状態の良いものが多かった。
こういうものは乾燥保存するため、筆者宅は現在ポルチーニ臭で充満している。
「アカヤマドリ」もいくつか見つけた。これは9月20日に撮影したものだが、近くにはアイタケも生えており、最近は9月下旬に入ってもまだ夏キノコの季節なのだと分かる。
特に例年より多く生えていたのは「オニイグチ」もしくは「オニイグチモドキ」
数年山を歩いて分かったことなのだが、毎年異なるキノコが「アタリ年」となって大発生するようなのだ。初めて山に入った年はムラサキシメジが、一昨年はハツタケ、昨年はキンタケとクロカワがアタリ年だった。

で、今年はこのオニイグチがどうやらアタリ年。もともと群生するタイプではないので、ひしめき合って生えるほどではなかったが、いつもは林内に1〜2個ポツンと生えている程度なのに今年はあちこちからニョキニョキと顔を出していた。

そして「オニイグチ」と「オニイグチモドキ」どちらなのかという点について。
昨年の記事で私は「モドキしか見たことがない」と書いていたが、実はそれもはっきりしない。正確に見分けるためには顕微鏡レベルでの観察が必要なのだそうだ。
しかし、一応「傘の鱗片が綿毛状かトゲ状か」「隙間から見える傘の地色が白っぽいか黒っぽいか」でも見分けられなくもないとのこと。
今年はたくさん写真が撮れたので、ちょっと同定チャレンジしてみようか。
図鑑やネットの情報によると、鱗片が綿毛状で地色が白っぽい方がオニイグチ、鱗片がトゲ状で地色が黒っぽい方がオニイグチモドキとのことだが……
これらの写真では、白っぽい方がトゲトゲしていて、黒っぽい方が尖っていないように見える…………
そもそも地色は成長度合いで変わるだろうし、鱗片の状態も乾燥具合で変わりそうだ。なんなら他にもコオニイグチやツブカサオニイグチといった似た種類があるという話なので、どちらでもない可能性すらある。

結論:分からない!!!

人間、楽しく生きるには諦めも肝心。
逆に今年はなかなか顔を出してくれなかったのが、こちらの「チチタケ」
毎年8月には何度か出会えるのだが、今年は9月に入ってからようやく見つけるができた。
我が家の夏の楽しみ「ちたけうどん」も今年は食べられないかと諦めかけていたが、なんとか3食分くらいはゲット。
数年ぶりに出会えて嬉しかったのがこの「タマゴタケ」
初めて見つけた年はいろんな場所で大発生していたので、珍しくないキノコだと思っていたのだが、あれもアタリ年だったようだ。
そしてこちらも数年前までは8月末頃に見つけていたのに、今年見つけたのは9月下旬になってから。近年の8月はもう、夏ではない別の何かなのだろう。
後日、もう少し乾燥した山でも発見。まるでトマトや乾燥オレンジのような見た目になっていた。
ちなみにタマゴタケは生ウニのような味がする人気の食菌なのだが、筆者は体質が合わなかったのでもう食べることはない。しかしこのように、どんな状態でも見た目で楽しませてくれるのでお気に入りキノコである。
過去に一度だけ「もしかしたら?」というものを見たことはあったが、はっきりと分かる状態のものに出会えたのは初めてのこちらは「トキイロヒラタケ」。ヒラタケのピンク版のレアキャラである。
ヒラタケは基本、倒木や切り株から生えるキノコ。地面から生えているように見えたので最初は別のキノコかと思ったのだが、よく見えると地面に落ちた木の枝から生えていた。
その枝を辿っていくと、少し離れたところに普通の色のヒラタケも生えていたのだが、トキイロヒラタケも古くなると色が褪せて白っぽくなるそうなので、あれもトキイロヒラタケだったのかもしれない。
そしてこちらが、今月見つけた中で一番嬉しかったキノコだ。名を「オオイチョウタケ」という。
大変おいしいキノコという話なので、まだ見ぬキノコに夢を見ながら毎日図鑑をめくっていた頃から目をつけていたキノコ。
その特徴は、夏頃に杉や竹の林で、白色で傘には絹のような光沢があり、大型で群生するという。
秋に比べるとキノコの数は少ないし、杉や竹の林に生えるものも比較的少ない。すぐに見つけられるだろうとたかを括っていたのだが……意外にも「夏場に生える白くて大型のキノコ」が多かったのだ。
上の写真は、そのオオイチョウタケとは別の「夏場に生える白くて大型のキノコ」の1つだ。
「シロハツ」「ツチカブリ」「ケシロハツ」さらにそれぞれに「〜モドキ」も加わり、夏に生えるは白いキノコはいくらでもあった。一応シロハツは食用らしいのだが、ほとんどは有毒か食不適。
特によく見かけるのはツチカブリもしくはケシロハツと思われる。これらはチチタケの仲間なので傷を付けると白い液体(写真右)が出てくるので分かりやすい。
そのため誤食したことはなかったが、どれも大きくて群生して、おまけに見ようによっては傘に光沢があるようにも見えるのだ。何度も「オオイチョウタケではないか?」と期待しては裏切られてきた。

では改めて、今月見つけたオオイチョウタケの写真を見てみよう。
うまく言葉にできないのだが、見た瞬間、遠目にも今まで見つけた白いキノコたちとは「違う」と感じた。
一番違いを感じたのは白さの質だろうか? 他は白のアクリル絵の具で塗ったような、どことなく不自然な白さを感じたのに対し、オオイチョウタケはもっと自然な感じがした。
とはいえ初めて見つけたキノコ。いくつもの図鑑やサイトから情報を集めて念入りに確認していく。
傘のフチの放射状のスジ、緻密な傘裏のヒダ、根本にいくほど細くなる柄、少しささくれた柄の表面、しっかり詰まった中実の柄の中身……
いくつもの特徴と合致することを確認し、オオイチョウタケであると判断して食べてみた。その味は……

普通に美味い!!!

いや、しっかりと美味いのだが、味自体には特別感は無いというか、スーパーとかで売られているシメジやヒラタケのような身近なキノコの味を濃厚にした。という感じ。
香りが強いので食べ方によっては好みが分かれそうだ。シンプルな味噌汁だと少し匂いがキツくて「ウッ」と来る。炊き込みご飯やシチューだと何故か香りが弱くなり、普通すぎてあまり感動はなかった。
個人的にちょうど良いと感じたのは、味付け濃いめで肉と野菜と炒めたもの。程よいクセを感じられて美味しくいただけた。

しかし、白いキノコは非常に危険な毒キノコが多いので、くれぐれも軽はずみにマネしようなどとは思わないでほしい。
【猛毒】ドクツルタケ
これは「死の天使」と呼ばれる最も危険な毒キノコ「ドクツルタケ」だ。
これまで紹介して来なかったが、珍しいキノコではない。全然その辺にいくらでも生えている。
たった1本食べただけで、内臓を徹底的に破壊され、苦しみ抜いて死に至る恐怖のキノコ。
見るだけなら惚れ惚れするほど美しい、まさに天使のようなキノコなのに……。
先ほど夏場の白いキノコたちの中に「シロハツ」というキノコの名を出したが、「クロハツ」という黒いキノコによく似たキノコたちも見つけた。
上の写真の左と右はそれぞれ違うキノコだが、傘を見ただけではほぼ見分けがつかない。候補として考えられる主なキノコは「クロハツ」「ニセクロハツ」「クロハツモドキ」
このうちクロハツはかつては食用とされていたようだが、生で食べると死亡するほどの毒があるので今では毒キノコとされている。また他の2つも毒キノコで、特にニセクロハツは死亡例の多いキノコだ。
つまりは3種類とも食べるべきでは無いキノコということだが、一応見分け方も紹介しておこう。
まず見るべきは傘の裏側。クロハツとニセクロハツはヒダの間隔が広く、クロハツモドキは密生しているとのこと。よって右の写真はクロハツモドキと思われる。
残るクロハツとニセクロハツを見分けるには、キノコを切って断面を観察する必要がある。
断面が空気に触れると、まずはどちらも赤色に変色する。その後しばらく放置すると、クロハツはさらに黒く変わるのに対し、ニセクロハツは赤色のままとのことだ。
今回見つけたものは黒っぽくなっていたので、おそらくクロハツの方なのだろう。

他にも大量のキノコを見つけているが、珍しいものだけいくつか厳選して紹介する。
傘裏がレースのようで美しいこちらは「アミヒラタケ」
とても硬いキノコなので食べるのには向かないが、柔らかい幼菌ならば食べられてしかも美味しいらしい。
この写真のものなら、もしかしたら食べられたかもしれない。また見つけたらチャレンジしてみよう。
初めて見つけたこちらはおそらく「カヤタケ」
美味しいキノコらしいのだが、死ぬより苦しむと言われる毒キノコ「ドクササコ」によく似ているとのこと。
見分けるには裂いて柄の中が詰まっているか確認する必要があるが、この時は写真だけ撮って確認しなかった。どちらだったのだろうか。
林道沿いの斜面に開いた穴の暗がりに、何かがひしめいている!?とよく見ると、なんとそこには黒いキノコがいっぱい。
調べるみると「テングノメシガイ」というキノコらしい。漢字で書くと「天狗の飯匙」。天狗のしゃもじという意味だろう。
とても小さいキノコだったので、しゃもじというよりは黒色の綿棒という感じだった。
そしてこちらはドリアン……ではなく「アラゲホコリタケ」というキノコ。完全に木の実だと思ってスルーしかけたのだが、一緒に居た父がキノコだと気付いた。
割ってみると中はマシュマロのように真っ白でふわふわ。名前の通り、外側以外は他のホコリタケとよく似ている。
しかし外側は正体を知ってから見てもやっぱりドリアンだ。画像で検索すると、やはりドリアン的な南国フルーツばかりが出てきた。
9月の植物の様子
今年の6月の記事で「ツルアリドオシ」という白くて小さい可愛い花を紹介したのだが、同じ場所へ行ったら赤い実を実らせていた。
花は2輪セットで寄り添って咲いていたのだが、実は1つだけ。2つの花の子房が合体して1つになって実になるそうだ。
昨年の春の記事で葉や花を紹介した「マタタビ」も、実をつけていた。
お酒にするというイメージしかなかったが、熟した実ならばそのままでも食べられるらしい。知らなかった。
もっと熟したものを見つけられたら、食べてみようと思う。
父が見つけて大喜びしたこちらの実は「ナツハゼ」。黒く熟したものは食べることができ、父が子供の頃によく食べていた思い出の果実だそうで、モリモリ食べていた。
私はちょっと酸味がキツくて苦手だったが、ジャムにすれば美味しく食べられそうである。
ふと地面の落ち葉を見ると、何やらキレイな飾りのようなものが付いていた。
調べたところ、どうやらこれはブナの葉に付いた虫こぶらしいのだが……検索して出て来た画像はどれももっと不規則に散らばって付いていた。こんなに規則的に並んで付くことあるんだろうか??


今月もたくさん素敵な出会いがあったが、ちょっと怖い発見も。
橋と看板につけられていた爪痕。おそらくだろう。
金属さえ削り取る威力に震えるとともに、人が作った橋をちゃっかり利用していることに和みもした。
道沿いの大きな木のウロの中に、蜂が巣を作っているのも見つけた。
幸い巣の主はニホンミツバチのようだったので、近づいても襲われることはなかったが、もしスズメバチだったらと考えるとヒヤッとする。
熊に限らず、いろんな危険を想定して気を引き締めようと改めて思った。


以上、2025年9月の里山の様子をお届けした。
来月も楽しい出会いがありますように。
イグチ アイコの画像
岩手で生まれ、岩手で育ち、岩手の野山でキノコなどを探して徘徊している妖怪。主に山の話をします。本当はインドア派。
最近釣りも始めて休みがいくらあっても足りない。夢は定年退職。
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