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#20 いわて里山散歩|2026年5月の画像
#20 いわて里山散歩|2026年5月
2026.06.11
里山大好きライターの不定期連載「いわて里山散歩」。
今回は2026年5月の里山の山菜、植物などの様子をお届けしよう。
※天候や大人の事情で更新が滞る可能性があります。ご了承ください。
※筆者はキノコ/山菜の専門家ではありません。この記事の情報だけでキノコ/山菜の同定を行うのは絶対におやめください。
ライター:イグチ アイコ
5月の山菜の様子
筆者宅周辺では山菜のシーズンはほぼ終わりを迎える5月。山奥や標高の高い地域など、5月になってもまだ雪が残っているような場所へ行くことが多くなる。
ということでタイトルはいつも通り「里山さんぽ」だが、今回は「奥山遠征」だ。
この時期、特に魅力的なのが奥羽山脈の山々。西和賀の「西わらび」が有名だが、豪雪地帯はワラビに限らず全ての山菜がデカい
上の写真は通常サイズと極太サイズのワラビを比較したものだが、その差は約2倍。これだけ太くても頭を垂れている状態なら柔らかいのが不思議だ。

しかし今年の5月はなかなか苦戦続きだった。
冬に雪が多かったのか春の進みが昨年よりも遅く、根曲り竹は小さめのものを少し見つけられただけで、昨年見つけて大喜びしたシオデも今年は見つけられなかった。
毎年たくさんのワサビが生えている場所も今年は不作。いつもは地面を埋め尽くすように生えているのだが、まばらにしか生えていなかった。
ただこちらはタイミングが合わなかったのではなく、おそらく近くの川が氾濫し土壌が流されるなどしたのでは無いかと思う。
渓流沿いは山菜やキノコの宝庫だが、たった1年の間に地形がすっかり変わってしまうことも多い。そんな一期一会なところも飽きずに楽しめるポイントではある。
そんな中でもウドは例年通りに安定した収穫。
あまりたくさん食べるものではないのに、次々と良い状態のものが見つかって採りたくてウズウズするほど。
アイコ(ミヤマイラクサ)も豊作というか質が良いものをたくさん見つけることが出来た。
何度かうっかりトゲに触れて悶絶したが、ポクポクした食感が魅力のアイコは大きい方が嬉しい。
今まで処理が面倒だということでスルーしてきたアザミにも挑戦してみた。
アザミは150種類以上もあるのでとても種類の特定はできないが、多少調べてみた感じでは「サワアザミ」と呼ばれるものが近そうである。筆者宅周辺の野道で見かけるアザミよりかなり大型。
アザミはアクも強烈。アク抜きの処理をする前に皮を剥いたのだが、全て剥き終わった頃には指が真っ黒に。
酢を指につけて洗ってみたりしたのだが、ほとんど効かず2日くらい汚れたままだった。
昨年は5月でもまだサシボ(若芽)の状態のイタドリがあった場所に今年も行ってみたが、イタドリに関しては昨年より成長が早かったようでもう伸びてしまっていた。
しかし先端を見ると、サシボの頃と同じように皮を被ったままの芽が……。サシボが大好物な筆者は諦めきれず、試しに同じ調理方法で食べてみることにした。
結果は、味はサシボとほぼ同じで一応美味しく食べることは出来た。ただ肝心の食感がイマイチ。ポクポクした根元はもう無く、全体がシャキシャキしていた。酸味やエグみも強め。
少し残念だったが、同時にサシボの貴重さが失われなかったので安堵もしたのであった。
気になる先客の採取跡も。採っていたのはおそらく「オオウバユリ」と思われる。
アイヌの人たちは主に球根のデンプンを調理し、東北地方では新芽をおひたしなどにして食べるそうだが、葉っぱが落とされて掘り起こしたような跡もあるので、この先客は球根が目当てだったようだ。
まだ筆者はチャレンジしたことがない山菜なので、いつか食べてみたいと思う。
ちなみに山の中を歩いているとよく見かけるこちらも、今回調べてオオウバユリの実だったことが分かった。
花の時期は積極的に山の中を歩かない頃なので、花を見たことはあまり無い。次に見かけたらぜひ撮影したいところ。
5月の草花の様子
春は里山でも奥山でも、たくさんのスミレを目にする。なんでも日本には60種類以上も生息しているのだとか。
今回は5月の奥山で見つけた3種類のスミレを調べてみた。
こちらはおそらく「オオタチツボスミレ」という種類。日本で一番メジャーな「タチツボスミレ」の大型版。
花の後のクネっとした部分(距というらしい)が白ければ大きい方、紫ならメジャーな方とのこと。
小指の先ほどの小さな花をつけていたこちらは「ツボスミレ」という種類らしい。「ニョイスミレ」とも呼ばれている。
日本のスミレの中で一番小さいそうで、きっと珍しい種類に違いないと思いながら写真を撮ったのだが、タチツボスミレの次にメジャーな種類だそうだ。小さすぎて今まで目に入っていなかったのかもしれない。
最後は「オオバキスミレ」。その名の通りデカい葉の黄色いスミレ。分かりやすい。
あくまで他のスミレと比べて葉が大きいことが由来のようだが、私は初めて見た時「シソの葉(大葉)っぽいな」と感じたので、それが由来の可能性もあるのではないだろうか。

スミレの花は世界的に食用として親しまれているが、このオオバキスミレは葉も山菜としてよく食べられているそうで、血圧を下げる効果もあるらしい。

真っ白で小さい花も3種類見つけたので紹介しよう。
キノコを探して足元を見ながら歩いていた時、花よりも葉の形の面白さが気になったこちらは「クルマバソウ」というらしい。地味な花も接写してみると高貴で美しい。
後で調べてみたところ非常に香りが良い植物らしく、ヨーロッパの方ではワインやお菓子の香り付けに使われているそうだ。(妊婦や肝機能障害がある人などは悪影響もあるそうなので要注意)

来年また見つけた時には、ぜひ香りも嗅いでみたい。
山歩き中は電波が無い場所が多いので、大体こういう情報は後から知ることになるのが悔しい。
ニンジンのような葉、セリのような花をしたこちらは「シャク」というそうだ。「ヤマニンジン」とも呼ばれて葉や茎、根っこも食べられるらしい。
ただし、よく似た有毒植物がいくつかあり見た目での判断は難しいそうなので手を出さない方が良さそう。一応香りで判断は可能とのことなので、こちらもまた見つけた時には香りを嗅いでみたいと思う。
アジサイに似たこちらは「オオカメノキ」
見たことがある名だと思ったら、昨年の8月の記事で「葉の形が面白い」と紹介していたものだった。
黒い点が付いた小さい花が両性花で、真っ白な大きい花が装飾花。装飾花はまるで紙で作った造花のような質感で面白い。
前述のような小さい花々が多い春の山の中で、大きめの花をつけて目立っているのがこの「シラネアオイ」という花。山菜を探す人なら目にする人も多いだろう。
目立ちはするが数は少ないようで、栃木や宮城では絶滅危惧種となっているようだ。かつては栃木の日光白根山で多く見られたからこそ「シラネアオイ」と名が付いたというのに、今ではほとんど見られないそう。
岩手でもいつまで見られるか分からない。今度からはもっとありがたがって拝むことにする。
こちらも山菜を探しているとよく見かける花で、名を「ラショウモンカズラ」という。
名前の由来は「渡辺綱が羅生門で切り落としたとされる鬼女の腕に見立てた」と非常にかっこいいものだが、花をアップで撮るとネコチャンのヒゲみたいなものが生えていて可愛らしい。
ネコチャンといえば、こちらのフワフワしたものは「ネコヤナギ」の花穂。見たままネコの尻尾に似ていることが由来だが、地方によってはイヌやウシにちなんだ名で呼ばれることもあるそうだ。
本来この花穂が見られるのはもっと早い時期なのだが、これらの写真は折れた枝についていたのを撮影したもの。本体の幹から離れると成長は止まるが、すぐに枯れることもないようだ。
昔は筆者宅近くにも生えていて子供の頃によく愛でていたが、今はもう無くなってしまった……。
こちらは画像で検索したら「ヒメコウゾ」と出てきた写真で、さらに植物名で調べると「実は食べれる」「クワの実の仲間」ということだったので、てっきり実だと思い「食べてみれば良かった〜!」と後悔したのだが……

さらに調べてみると、どうも様子がおかしい。実を食べた人のブログや動画を見ると、どれも赤い実を食べているのだ。しかも実の中には硬い毛のようなものがあり、食べない方が良いとするものばかり。
ヒメコウゾは知らなかったが、クワの実ならよく知っている私は「いやいや、赤い実を食べてるからでしょ!この黒く熟成したのなら美味しく食べれるんじゃないの!?」と思い込み、さらに調べてみるものの一向に黒い実の情報は出てこない。

諦めきれずに調べ続けて「ヒメコウゾじゃないのでは…?」と思い始めた頃にようやく分かった。この黒いものは実ではない。

蕾だった。

分かってから最初に調べた情報をよく読んだら、しっかりと「実がつくのは夏」と書いてあった。
思い込みというのは恐ろしいものである。
こちらは山の中ではなく、人里近くの空き地で撮影した「クサノオウ」という植物。
特に珍しい訳でもないよく見かける花だと思うが、改めて調べてみると実は毒性の強い植物で、葉を傷つけたところから出る液体に触れると炎症し、皮膚が弱い人なら植物自体に触れても炎症するそうだ。

なんだか一時期騒がれたカエンタケを思い出すような話である。もちろんカエンタケは食べると死に至るのでもっと危険ではあるのだが、あの頃騒がれていたのは「触るとただれる」という点だったと記憶している。
このクサノオウやウルシなど、触るだけで炎症するようなものはいくらでも生えているのに、なぜカエンタケだけがあんなに目の敵にされたのか不思議だ。

ちなみにこのクサノオウ、皮膚に害がある植物でありながら、かつては皮膚病の薬として使用されていたそうだ。「毒をもって毒を制す」ということなのだろうか。
5月の面白い出会い
山菜求めて地面を見ながら歩いていると、何やら不思議なものが……
えっキノコ!?
いや、植物……? 虫の繭……??

何!?!?
正体はトチの実の殻らしきものが落ちた場所に、下から別の植物が生えてきて殻を持ち上げた状態。
新種とか珍しいものではなかったが、ちょっとした奇跡に出会えた。
こちらも地面を見ながら歩いていたおかげで見つけることが出来たカエル。おそらく「ヤマアカガエル」
ニホンアカガエルと見分けるには、横から見た時の背中の筋がまっすぐか曲がっているかで判別するそうで、この角度だとちょっと分かりづらいのだが、ヤマアカガエルの方だろう。山だし。

そんな面白いものや可愛い生き物だけが見つかるなら良いのだが、山で地面を見ていると結構ゴミも目に入る。
だが今回はちょっと珍しいゴミに出会った。
左は4月に1人で発見した時に撮ったもの。黒革で厚底で、ゴツめのベルトまで付いていて、こんな山奥になんでヴィジュアル系みたいな靴が落ちているのかと、不思議に思って撮影していた。

5月に再び同じ場所を訪れた際、今度は父が一緒に居たのでその正体が判明した。
なんとこの靴は昔のスキーブーツなのだそうだ。
その際にひっくり返してみたのが右側の写真。なるほど確かにスキーブーツらしい留め金が付いている。まだ雪が残る時期にスキーを履いて訪れた人が居たのかもしれない。
それにしたってこの場所は車で入れるところから少し離れていたので、靴を置いて行くことは無いと思うのだが。
山の中ではないが、コンビニの駐車場でも面白いものと出会った。一瞬落ち葉かと思ったのだが、よく見ると蛾!
「ウンモンスズメ」という種類らしい。こんなに綺麗な色と模様の蛾が身近に居るなんて知らなかった。
正直私は蛾は飛ぶと動きが予想できないので苦手なのだが、昼間は大人しいそうなので手に乗せたりしてもっとじっくり観察してみれば良かった。また会えますように。
マダニに注意!
そんな感じで5月も楽しく山の中で過ごしたのだが、ちょっとヒヤリとする経験もした。
マダニだ。

マダニが危険であることは一般的にも知られていると思うが、マダニに咬まれたからといって必ず死に至るわけではない。
危険なのは「感染症をもったマダニ」に咬まれた時。特に「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」という感染症を引き起こすウイルスをもったマダニに咬まれると、致死率が非常に高い
かつては西日本でしかこのウイルスを持ったマダニは発見されていなかったが、最近の調査で岩手県内でもこのウイルスの遺伝子が検出されたそうだ。

山に入って活動しているので気をつけるようにはしていたのだが、対策が不十分だった。
事前に得ていた情報では「マダニはすぐに咬みつくことはなく、血を吸いやすい場所を探してしばらく這い回るので、山に入った後に入浴すれば大丈夫」という話だったのだが、このマダニを見つけたのは温泉に入って帰宅した後
何気なく首筋を触ったところ、何やら硬いものが指に触れたので咄嗟に「マダニか!?」と思い指で摘んで引き剥がしたらビンゴだった。
その程度で剥がれたということは、まだ咬まれる前だったので良かったが、入浴したからといって必ずしも安全では無いことを身をもって知ったのであった。(入浴後、服・帽子・車のシートなどから移って来た可能性も高い)


以上、2026年5月の里山の様子をお届けした。
熊の出没がとどまることを知らず、最近は山を歩かず海に釣りに行くことが多いため次回がいつになるかは不明だが、また面白い発見があれば紹介したいと思う。
(港にも熊が出てるのであまり意味は無さそうだが……)
イグチ アイコの画像
岩手で生まれ、岩手で育ち、岩手の野山でキノコなどを探して徘徊している妖怪。主に山の話をします。本当はインドア派。
最近釣りも始めて休みがいくらあっても足りない。夢は定年退職。
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