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#6 いわて里山散歩|2024年5月の画像
#6 いわて里山散歩|2024年5月
2024.05.31
里山大好きライターの不定期連載「いわて里山散歩」。
今回は5月の里山(と山奥)の様子をお届けする。
※天候や大人の事情で更新が滞る可能性があります。ご了承ください。
※筆者はきのこ/山菜の専門家ではありません。この記事の情報だけできのこ/山菜の同定を行うのは絶対におやめください。
ライター:イグチ アイコ
5月5日のちょっと里より奥の山の様子
「里山散歩」と言いながら、今回は散歩では行かないような里から離れた奥地の話が多めになる。
何故なら5月は、東北人が愛してやまないある山菜のシーズンだからだ。
その山菜とは......
根曲がり竹!
である。
「ヒメタケ」と言われた方が馴染みがある人も多いかもしれない。それでもピンと来ないという人は「スーパーとかで売られている山菜ミックスに入っている輪切りの小さいタケノコ」と言えばイメージできるだろうか?

どれだけ人気があるかというと、「わが身をかえりみずに採りに行くほど」だ。
この時期、連日のように山菜採りに行った人が遭難したりクマに襲われたというニュースを耳にするが、その山菜の大半は根曲がり竹だろうと思っている。
クマに襲われやすい理由としては、よく「クマも根曲がり竹が大好物だから」と言われているが、クマが好物の山菜は他にもある。 私が根曲がり竹が他の山菜と比べて特に危険だと考える理由は、その採取環境だ。
「クマの生息域である山奥に入る」というのは、他の山菜にも言えること。ではその山奥の中でも、根曲がり竹はどんな場所で採るのかと言うと...
こんな背の高い笹薮の中なのだ。
この笹薮の中に潜り込んで、地面をじっくりと探すと...
あった。これが採取対象になるような根曲がり竹だ。
これを何本か見つけて目が慣れてくると、あっちにも、こっちにも、次々と見つかってついつい夢中になる。
人の背丈ほどもある笹薮の中で身をかがめ、近場で次々と見つかればほとんど動かないためクマ鈴も鳴らず、複数人で来ていても全員が夢中になっていれば声をかけ合うことも忘れ...
そんな状態で、クマも狙っている物を探すのだ。そりゃ鉢合わせるのも当然と言える。
また、笹薮の途中で急に崖になっていることもあるので、うっかり足を滑らせたり、欲張って斜面の物に手を伸ばして滑落。なんてこともありそうだ。
ではこの根曲がり竹、そこまで危険を冒してでも手に入れたいものかと言うと......正直分からない。
もちろん美味いことは美味い。だが、他の山菜よりもズバ抜けていて、死んでも食べたい!というほどとは私には思えない。
私の場合は、他にも目的があるのと探すのが楽しいという理由で、毎年一度は探して両手に持てるぐらいのささやかな量を採る。といった程度なので、明け方のような危険な時間から物凄い奥地まで長時間探し歩くようなことはしないため、今のところ無事である。
「そんなに人気なら、とんでもなく美味いに違いない!」なんて考えで探しに行こうと思っている人がいるならば、やめておいた方が良いと思う。
いっぱい採れたと思っても、皮を剥くとほんのちょっとにしかならないし...
そんなことを考えながら、根曲がり竹を採り終えて戻ろうとしたところに
先ほどの話を裏付けるように、クマの足跡を発見。
アップで撮りすぎてしまったので少し分かりづらいが、ぬかるみに爪を突き刺した跡だ。右側の赤く塗った部分が爪が刺さって出来た穴になっている。
くわばらくわばら。
根曲がり竹以外にもクマの好物の山菜があると書いたが、その1つがこれだ。
エゾニュウ」という植物らしいが、岩手や秋田では「サク」と呼ばれている。
1つの株から何本か茎が時間差で生えるのか、先に伸びて葉が開いたものと、まだ葉が閉じてるものがセットで生えていることが多い。採取するのはまだ葉が閉じている方だ。
先端の細かく割れて葉が付いてる部分は落とし、その下の1本だけの太い茎を食べる。食べることに関して言えば、私は根曲がり竹よりもこちらの方が好物だ。
外側の皮を剥いた後は塩漬けにするのが主流のようだが、大量に塩を使う塩漬けは我が家ではハードルが高いため、重曹を使ってアク抜きをしている。この重曹の加減がなかなか難しいのだが。
食べ方や味はフキと同じような感じなので、いつも煮物に入れている。ただフキと違って茎が空洞になっていないので、フキよりもギュッとして食感が良い。
秋田では割とメジャーなようだが、不思議なことに山菜の図鑑などにはあまり載っていないようで、岩手では採取されている形跡がほとんど見られない。美味しいのに。
左:サク(エゾニュウ) 右:別の植物
美味しいが注意点がある。必ずと言って良いほど、同じ場所にそっくりな別な植物が生えているのだ。
上の写真の左がサクで、右が別の植物。何という植物なのかはちょっと調べただけでは分からなかった。
見ただけでは分かりづらいが、茎を切ると右の植物の方は中が空洞なので間違って食べてしまうことは無いだろう。
もう1つサクで不思議なのは、今のところ西側(奥羽山脈)でしか見かけていないということ。なぜ東側では見つけられないのか、いつか植物に詳しい人に会ったら聞いてみたい。
西側の山菜といえば「ワラビ」だ。
と言っても、ワラビ自体はどこでも...家の近所の散歩道でもいくらでも生えている。実は前回の4月の記事の時点でも、すでに何度か採っていたのだ。
ただ、ワラビはとても写真に撮るのが難しく、全てピンボケ状態だったので泣く泣く削ることに...
だがやはり、家の周りのワラビと西側のワラビは違う。
まずは太さ。東の方でも場所によっては同じくらい太いものに出会えるが、西の方が圧倒的に太いものが多い。
そして色。処理の仕方にもよるのかもしれないが、西で採取したものは赤みが強くて紫色っぽくなる。
だが一番の違いはねばりの強さ。シャキッとした歯応えの後にトロ〜とした舌触りが絶品。西和賀町まで行けば「西わらび」としてブランド化しているのも頷ける。
気軽に採れるのもワラビの魅力。
車で山道を走ってると、道路沿いの斜面で何かを採っているご婦人方を見かけたことがある人も多いだろう。あれはほぼワラビを採っているのだと思う。
もう1つ、この日採れた山菜はこちらの「ウド」。
まるでタラボのような、木の枝の先端から生えていそうなものが地面から直に生えているので、かなり分かりやすい。
まだウドがどういう見た目かハッキリ分かってなかった頃でさえ、一目見て「これはウドに違いない」とピンと来たほどだ。
食材としてはかなりメジャーな山菜だが、実は私はつい最近まで好きではなかった。独特な薬っぽい感じの香りが苦手で...
ところが先日、日本酒を飲みながらこのウドのきんぴらを食べてみたところ
世界が変わった。
え、めちゃくちゃ美味いじゃないか!!ウド!!!!
もう今ではすっかりウドの虜である。酒の力はすごい。
こちらは山菜採りの合間に、ふと見上げたら咲いていた花。
宝石みたいでキレイだな〜と何かも分からず撮っていたところ、それに気付いた父が「お、アケビだな」と声をかけてきた。
え!これアケビなの!?!?
実しか見たことがなかった。こんなに美しい花を咲かせる植物だったとは。
5月18日のさらに奥の山の様子
この日は5月5日よりも、さらにもう少しだけ山の奥へ。
すっかり大きくなったフキノトウの綿毛が飛び交い、エゾハルゼミとカジカガエルの鳴き声が響く幻想的な世界。
この日も最初の目当ては根曲がり竹で、先日よりも日当たりの悪い場所に行ったのでちょうど良いものを採ることが出来た。先日のは少し伸び過ぎが多かった。
まぁ根曲がり竹の話はもう十分したので、それ以外の山菜の話を書こう。
前回の4月の山菜の記事の中で、行者ニンニクとコバイケイソウが間違えやすいという話の流れで、ウルイとミズバショウを間違えたことがあるという話に少し触れた。
今回、その話を詳しく書くべく、事件の現場に赴きウルイとミズバショウの写真を撮って来たのである。
こちらが「ウルイ」。
山菜と言うより野菜と言った方が良いんじゃないかというほど普通に売られているので、山に行く人より台所に立つ人の方が慣れ親しんでいるかもしれない。
そしてこちらが「ミズバショウ」。
まぁ...今見ると全然違うのだが。どうかいくつか言い訳を言わせて欲しい。
まずソレが起きた当時、私はその春初めて山菜を探し始めたばかりであり、この場所にも初めて行った時だったのだ。料理も滅多にしないので、ウルイにも馴染みがなく、ぼんやり「こんな形」ぐらいにしか認識していなかった。
だがもちろん、自分の判断だけで食べるに至ったのではない。採取した「ウルイらしき物」を山の先輩である父に見せ、「これってウルイ?」と確認した上で持ち帰った。
だが父の名誉のためにもう1つ言わせて頂くと、父が見たのはすでに切り取られた状態の物だけだったのだ。実際に生えていた場所を見ていれば、おそらく間違うことはなかっただろう。
実はキノコでも一度、幸い毒ではなかったが誤食をしたことがあり、それもこの件と全く同じ経緯で発生した。
長年山で採取をしている人間でも、実際にそれがどういう環境に生えていたものかをその目で確認しなければ同定は難しい。
「詳しい人に写真を見せて同定を頼む」というのは危険だ、といった類のことを今まで何度か書いてきたと思うが、そう強く思う理由はこの経験にある。
そして間違えて採取したミズバショウは、この日の夜に味噌汁になった。
父と母は違和感を覚えつつも食べてしまったが、私は口に入れた瞬間、舌を無数のトゲで刺されたような痛みが走りとても食べられなかった。
歳をとるとこういった感覚も鈍くなるのかもしれない。自然採取を趣味としている高齢の方々は気をつけて欲しい。
幸い少量だったためか、その後何事もなく全員無事である。
もう1つ、間違えやすい山菜の話。
こちらは野生の「ミツバ」。
食材としてはメジャーだが、野生のものは間違えやすい毒草がいくつかあるらしい。
こっちは近くに生えていた別の草。
種類まではよく観察しなかったので分からないが、こうして分けて見ると葉の形状が違うことが分かると思う。
だが......
この2種類が、この距離感で一緒に生えているのだ。形は違うが、色・質感・葉脈の感じなどが本当によく似ていた。
今までに見た「似てると言われるもの」の中で、一番怖いと思った。
こちらは「ノビル」...と聞いて採ったものだが.........
これを書きながら調べたところ、これは...「アサツキ」の方じゃないだろうか...?
しかしどうもその辺の線引きは曖昧なようで、混同している人はいっぱい居るらしい。
他にも似た見た目の毒草があるそうだが、ネギの香りがすればノビルかアサツキのどっちかではあるようだ。
母は「ヒロッコ」と呼んでいた。可愛い響きだ、ヒロッコ。だが「ヒロッコ」も、ノビルを指す場合とアサツキを指す場合があるとのこと。わあ。
ところで。
皆さんは「スカンポ」という呼び名を聞いたことがあるだろうか?
左:スイバ 右:イタドリ
聞いたことがあるという人は、上の写真の左と右、どちらを思い浮かべるだろう?
秋田出身の父は、左の「スイバ」をスカンポと呼ぶ。
長野の友人は、右の「イタドリ」をスカンポと呼ぶ。
岩手ではどっちなのだろう???

ちなみにイタドリは茎のところを炒め煮すると、すっぱいメンマみたいになって美味しい。
5月の里山の花
山奥の話が続いてしまったが、ちゃんと里山でも散歩はしている。
筆者宅周辺では早々に山菜シーズンは終わってしまったが、山でも田んぼの畦道でも、一斉に花が咲き乱れた。
5月の頭頃に山のあちこちで目にするようになったツツジの花。
うちの庭にも咲いているが、自然の中で点在している方がワイルドで趣がある。
子供の頃はよく花を摘んで蜜を吸ったものだ。(だがおそらく、当時は誰かの庭のツツジだったと思う。誠に申し訳ない)
その後を追うように勢いを増してきたのが藤の花。
山の中を歩いていると、よく藤のツルが他の木々を縛りあげて痛めつけている様を目にするので、あまり喜ばしくない植物なのだが...
こうして花を見ていると、やはり美しい。この上品な見た目通りもう少しおしとやかにしてくれたら良いのだが、見た目で性格を決めつけるのは良くないな。
田んぼの畦道の方では、様々な種類の黄色い花で溢れていた。
相変わらず花には疎い筆者だが、こちらは「ミヤマキンポウゲ」という花らしい。
蝶々の方は「ベニシジミ」という種類のようだ。
アスファルト沿いでたくましく咲いていたこちらは、調べたところによると「ミヤコグサ」。
大変小さい花だが、コロンとしたフォルムが特徴的で目を引く。
こんな見事な花畑にも出会えた。
と聞いてこの写真だけ見ると、一面の花畑が広がる草原を思い浮かべるかもしれないが...
実際はこんな場所。
わざわざ遠出してSNSで話題の花畑なんかに行かなくても、見方を変えればすぐ足元に素敵な世界が広がっていることもある。
ちなみに花の種類は、例によって「タンポポの一種かな〜」ぐらいに思って調べたら、キバナムギナデシコとかイワニガナとかまた似た花がたくさん出てきた。
まぁタンポポ含め、キク科であることは間違いなさそう。
そうして花を撮りながらブラブラしていると、面白いものを見つけた。
これ......どうなってるの!?
想像だが、まだこの植物の葉が伸びていない頃に、何らかの枝の皮が覆い被さり、その状態のまま葉が伸びてこうなった...とかだろうか?
こちらは目線の高さほどもあった、でっかいアザミ。
こんなにでかくなることあるのか!?と思い少し調べたら、なんとアザミにもたくさんの種類があることが分かった。その数、なんと日本だけで150以上。
お手上げだ。今すぐ仕事を辞めて学者にならなければ花の種類の特定などとても無理だ。
ちなみにアザミは山菜としても有名だが、今年は他で手一杯でスルーした。来年チャレンジしてみよう。
この花は、皆さん何と呼んでるだろうか?
「マーガレット」だと思っている人が多いのではないだろうか。私もマーガレットだと長年思っていた。私の周りの人もみんなマーガレットと呼んでいた。
ところが最近になって「これはデイジーらしい!」という話を聞いた。その時はそうだったのか〜と思って流したが、この機会に改めて調べてみたら...
世の中でもこの違いに悩んでいる人がたくさん居るらしい。そして、それぞれの花にも品種がたくさんあるらしく、調べ先によって見た目が全然違う。
いくつか調べてみて、私が出した結論は...おそらく、これは...
マーガレットでも、デイジーでもなく、フランスギク。
花々が元気なのは嬉しいことだが、コイツもまた、早くも猛威を振るい始めている。
そう、「葛」だ。まるで某魔法学校を舞台にした作品の「悪魔の罠」だ。
今年もこの世の全てを覆い尽くしていくことだろう...
オマケ:庭の様子
筆者宅の庭の植物たちも、花を咲かせたり実を付けたりし始めた。
こちらは裏庭のミョウガ。
「ミョウガタケ」とか呼ばれたりするようで、確かにタケノコのようにニョキニョキと生えている。
左:2024.5.18撮影 右:2024.5.26撮影
こちらのワイルドベリーはそろそろ食べ頃。
今年は雨が少ないからか、実の付きがあまりよろしくない。
左:2024.5.3撮影 中央:2024.5.11撮影 右:2024.5.26撮影
一番変化があって面白いのが、このブルーベリー。
花の付け根のあたりが徐々に膨らみ、実に変わっていく様子がよく分かる。
左:2024.5.3撮影 右:2024.5.26撮影
こちらはイチジクだが...
多少大きくなってはいるが、1ヶ月ではほとんど変化が見られなかった。
来月も様子を見守っていこう。
6月は山の方でも、木苺系の実が色づき始めると思うので、また休日は野山を徘徊して探してみようと思う。
イグチ アイコの画像
岩手で生まれ、岩手で育ち、岩手の野山でキノコなどを探して徘徊している妖怪。主に山の話をします。本当はインドア派。
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