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ばっけを採って絶品薬味を作ろう
2025.04.11
狩猟採集を趣味とする諸君!手に入れた食材を下処理もせず家族に丸投げしていないだろうか?
里山と釣り大好きライターによる新連載「とてちてくうべし」では、食材を採るところから食べられる状態にするところまでの様子を紹介していく。
※筆者はきのこ/山菜の専門家ではありません。この記事の情報だけできのこ/山菜の同定を行うのは絶対におやめください。
※下処理や調理の方法は家庭で楽しむことを前提としております。販売等を行う際の参考にするのはおやめください。
※天然のものを口にする際は自己責任でお願いします。
ライター:イグチ アイコ
はじめに
漁港などで釣りをしていると、こんな会話が聞こえてくることがある。
「嫁さんから“もう持って帰って来るな”って怒られでよ〜」
また家事を担う人から「採って来るばりで、後の処理は全部こっち任せだからこっそり捨てでらの」なんて愚痴を聞いたこともある。

筆者も狩猟採集を趣味とする者の一人。夢中になって採ってしまう気持ちはよく分かる。(釣りに関してはまだ怒られるほど釣れる腕は無いが)
また料理も基本人任せにしているので、とても他人事として聞くことができないのだが、一応我が家では「採って来たものは採った人が下処理までする」というルールがある。
この「下処理」がとても大変で、ついつい採りすぎた時は激しく後悔するのだ。

今ではその苦労が身に沁みて、最低限の採取で済ませる節度が身についたと思う。
家庭内円満のためにも、必要以上の乱獲を防ぐためにも、下処理の苦労を知ってもらいたいという気持ちから、この連載を始めさせてもらうこととなった。
今まで採るだけだった人も、これから採集を始めてみたいという人も、参考にしてもらえたら嬉しい。
ばっけを採ろう
さて初回となる今回のテーマとなる食材だが
ご存知、最も身近な春の味覚「ばっけ」(フキノトウ)である。
岩手ではまだ雪が残る時期から、いち早く顔を出す山菜だ。
田んぼの畦道、道路沿いの土手、自宅の庭に至るまで、そこらじゅうから芽を出すので目にしたことがある人がほとんどだろう。見たことがないという人も、探しさえすればすぐに見つかるはずだ。
2〜3月頃に道路脇に車を停めて何かを採っている人が居たら、まずばっけ採りである。

とはいえ、他人の家の敷地内、立ち入りが禁止された場所、採取が禁止された公園などでは採らないように気をつけよう。
一般的には上の写真のような、まだ花が開く前の蕾の状態で採ることが多い。
ちなみに左は2月末に筆者宅の庭で撮影したもので、右が3月末に近所の田んぼの畦道で撮影したものなのだが、左はまん丸、右は少し細長と形が違った。
調べてみたが「オスとメスの違い」や「フキの種類の違い」など諸説あるようで理由は分からなかった。どちらも特に味の違いはなく美味しく食べることができる。
花が開いて少し成長したものも、茎が10〜15cm程度ならばまだ柔らかく、十分美味しい。
我が家ではむしろこの状態をよく採取している。父の胃腸が弱く、花芽の部分が入っているとお腹を壊すことがあり、成長していた方が花芽を取り除きやすいからだ。

採る時は根元を摘んで、ぐいっとひねるようにもぎ取れば簡単に採れる。
どう調理するかにもよるが、家庭で楽しむなら一度に採取する量は10個ほどで十分だろう。苦味が強いので、あまり大量に食べるものではない。

今年は平地ではもう伸びてしまっている場所が多いと思うが、標高が高いところならばまだ蕾を見つけることができると思う。
下処理の仕方
ばっけの下処理は非常に簡単。
水で洗って枯葉などのゴミや土を落とし、外側の少し赤く色が付いた固い葉を取り除く。
花が開いたものは、花芽の根本あたりでもぎ取る。
胃腸が丈夫でも、花の部分のえぐみが強いらしいのでよっぽどえぐみが好きでない限り取ることをおすすめする。
天ぷらにする場合はこれだけで下処理完了!
薬味にする場合はここからさらに、次のアク抜きをしておこう。
鍋でお湯が沸騰したら、下処理が終わったばっけを投入してさっと茹でる。
茹でる時間は30秒ほどで十分だ。
茹でたばっけを一度ザルにあけたあと、水にしばらく浸してアク抜き完了。
下処理は以上だ。とても簡単。
あまりにも簡単すぎるので、料理をしたことがない人にも簡単に作れる薬味の作り方も紹介しよう。
簡単薬味の作り方
梅かつおばっけ
用意するのは以下の4つ
  • ばっけ(アク抜きをしてよく絞り水を切ったもの)
  • 梅干し
  • かつおぶし
  • 醤油
それぞれ量はお好みで。
ちなみに上の写真の梅干しは自家製なので、市販のものよりしょっぱめ。
ばっけと梅干しをみじん切りにしたら、かつおぶしと醤油と混ぜ合わせる。
味が物足りなかったら、醤油を足したり顆粒だしを加えても良い。

以上。
ばっけ味噌
次は火を使うので少し難易度が上がる。用意するのは以下の5つ。
  • ばっけ(アク抜きして水を切り、みじん切りしたもの)
  • 味噌
  • 砂糖
  • ごま油
こちらも量はお好みだが、我が家ではばっけ1つかみ(先程の梅かつおばっけと同程度の量)に対して、ごま油は少々、他は全ておよそ大さじ1ずつくらい。
私が甘い味噌が苦手なため、一般的な作り方より甘さは控えめになっている。
まずはばっけ以外の調味料を鍋に入れ、弱火にかけながら混ぜていく。
弱火でも気を抜くとすぐに焦げつくので、常にシリコンのヘラなどを使って混ぜ続けること。
調味料類がクツクツと泡をたて始めたらばっけを投入し、満遍なく混ぜ合わせて火を止める。

以上。

たったこれだけの超簡単調理で、絶品薬味の完成である。
出来上がった薬味は台所の主に聞いて、指定の容器に入れよう。匂いがつかないようにとか、色々とこだわりがある可能性がある。
こういうところを疎かにすると良かれと思って台所に立っても、かえって喧嘩の元となりかねない。
おすすめの食べ方
まずはシンプルにご飯のお供として。
味付け海苔とご飯にちょいと乗せてやるだけで、もう最高に美味い。優勝。
塩焼きサバに乗せて食べるのもおすすめ。
筆者はほんの数年前まで、ばっけ・サバ・甘い味噌が苦手というか嫌いだった。
ところが、苦手なサバの味をごまかす目的でばっけの薬味を乗せてみたところ、これが最高に美味い!
そうして食べているうちに気がつけば、ばっけが大好きになり、サバも薬味なしでも食べられるようになり、甘い味噌はまだちょっと苦手だが前よりは平気になった。
健康のために青魚を食べた方が良いけど苦手……という人も、ぜひ試してもらいたい。
天ぷらは料理初心者には厳しいが、ばっけ初心者にはおすすめ。
以前オシャレなレストランで「フキノトウのフリッター」なんてシャレた名前で出されたことがあったが、要はばっけの天ぷらだった。(厳密には天ぷらとフリッターでは衣の材料が違うらしい)
まだばっけが苦手な時代だったが、初めて美味しいと感じたのがコレ。

天ぷらは偉大だ。天ぷらにすれば大抵のものは美味しくなる。
年々、胃にかかる負担が大きくなっていくことだけが難点。


以上、新連載「とてちてくうべし」の初回はばっけの採り方・食べ方をお送りした。
次回もお楽しみに。
イグチ アイコの画像
岩手で生まれ、岩手で育ち、岩手の野山でキノコなどを探して徘徊している妖怪。主に山の話をします。本当はインドア派。
最近釣りも始めて休みがいくらあっても足りない。夢は定年退職。
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