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#2 いわて里山散歩|2023年10月後半の画像
#2 いわて里山散歩|2023年10月後半
2023.11.01
里山大好きライターの不定期連載「いわて里山散歩」。
今回は10月21日〜10月28日頃の里山の様子をお届けしよう。
※天候や大人の事情で更新が滞る可能性があります。ご了承ください。
※筆者はきのこの専門家ではありません。この記事の情報だけできのこの同定を行うのは絶対におやめください。
ライター:イグチ アイコ
10月20日の里山の様子
この翌日に区界高原に行ったところ見事な紅葉を見ることができたのだが、筆者自宅周辺はまだまだ緑の方が多く、秋の深まりはあまり感じられなかった時期。
朝露でキラキラ輝くエノコログサが美しい。

そんな里山で見つけた、今回の目玉きのこは......
これだ!!!!!!

...と言われても、写真を見ただけで何のきのこか分かった人は、相当なきのこ通だろう。
筆者も分からず、先日テレビ岩手さんとのロケでお世話になった「きのこや おいよ」さんに見てもらった。
すると答えは...なんとホンシメジ!!
しかし、おいよさんの店頭に並ぶホンシメジとはかなり見た目が異なっており、戸惑っていたところ 「田んぼの横っちょあたりの、低い山で見つけたんじゃないのか?」と、発見場所の状況まで言い当てられてしまった。

ホンシメジは重なりあって生えることから、この辺りでは「ウエッコ」とも呼ばれているそうなのだが、今回見つけたものは「カヤウエッコ」と呼ばれる里山独特のもので、山奥に生えるホンシメジとは見た目に差が出るそうだ。
昔はよく見られたそうだが、最近は人の手が入らなくなった里山が増えたからか珍しいらしい。
さすがおいよさん。地元ならではのきのこの話が聞けたのが、一番の収穫だった。
こちらは先日のロケの際にも見つけたクロラッパタケ。
ロケ時のものは色褪せて不気味だったが、こうして苔の中でみずみずしい状態ならばとても美しい。
こちらの表面が茶色で裏側が紫色のきのこは、カワムラフウセンタケだと思っているのだが、果たして?
フウセンタケの仲間も種類が非常に細分化されており、同定するのはとても難しい。
美味しいきのこが多い種類なので、歯がゆい思いをしている人も多いだろう。
このツヤツヤとしたきのこは初めて見るものだったが、フウセンタケの仲間の中でもヌメリがあるタイプのアブラシメジやヌメリササタケといったきのこによく似ていた。
アブラシメジも前回紹介したナラタケのように「広義」と記載されていることがあるので、これもアブラシメジの1種だったのかもしれない。
ちなみにこの手のきのこは岩手の図鑑を見ると、俗称は総じて「ヌラリ」や「ヌルリンボウ」。
この連載も地元の風習にならって、やんべスタイルで行こう。


だが、次のきのこはそんな適当に判断してはいけない。
以前に採集での注意点について書いた記事でも触れた、スギヒラタケだ。
かつては食用として親しまれてきたが、死に至ることもある毒きのこだと判明したことで有名なきのこ。
この日見つけたのはマツの木に生えているが、マツに生えてもスギヒラタケ。
怖いきのこの後は、かわいいきのこで癒されよう。
苔の中からポコポコと、たくさん顔を出していた小さくて白いきのこ。
すぐ近くに同じ形で黄色いものがあったので、おそらくキホコリタケの幼菌だろう。
それよりさらに小さいきのこ。小指の爪くらいのサイズ。
調べたところヒナノヒガサとして出てきた写真にかなり似たものがあったが、同じに見えないものも多く出てきたので怪しい。


いろんなきのこが増えてきたが、花もまだまだ元気だ。
頼みの綱の画像検索がうまくいかなかったが、自力で調べた感じだとツリガネニンジンだろうか?
田舎の田んぼ道であることを忘れるくらい、可憐で上品な花。
道端に山ほど生えてるこちらはイヌタデというらしい。
筆者の母は「赤まんま」と呼んでいるのだが、母は生家独自の謎方言をよく使うので、てっきりその類かと思いきや...割とメジャーな俗称らしい。
赤飯に見立ててままごとに使うから「赤まんま」とのこと。米に見立てるには小さすぎる気もするが...
最後はスマホではなく父が教えてくれたセンブリ。昔よく父が胃薬として煎じて飲んでいた。
湯呑みにわずかに残っていたものをうっかり夕飯の焼きそばにぶちまけ、激苦焼きそばに変貌したという恐ろしい事件が起きた思い出深い花だ。
10月28日の里山の様子
いよいよ里山の木々も本格的に色づき始め、秋が深まってきた。
そしてあらゆるきのこが続々と顔を出して、筆者の写真フォルダが大変なことに...!!
さすがに全ては載せられないので、泣く泣く厳選してお届けする。
まずは晩秋の代表きのこの1つであるクリタケ。
状態の良いものに出会いやすく、写真うつりが良いのでお気に入りのきのこだ。
そのすぐ近くには、クリタケと間違えての中毒例が多いニガクリタケ。
肉眼で見た時にはハッキリ違いが分かったのだが、撮ってきた写真を見比べたら本当によく似ていて驚いた。
やはり写真の情報で判断するのは危険なのだと、改めて気付かされた。
ちなみにこちらは、同じ倒木に生えているクリタケとニガクリタケ。少し見づらいが、右側の苔に隠れている方がニガクリタケだ。
見た目にハッキリ違いがあっても、同じ倒木に生えているとやはり躊躇する。まれだが直に見ても違いが分かりづらいことがあるからだ。
少し齧ってみて苦ければニガクリタケ...という判断方法もあるが、お勧めはしない。
こちらは筆者宅では昔からキンタケと呼んで親しんでいるきのこだが、例のごとく複数のきのこに使われている俗称。
これがキシメジなのか、シモコシなのか、アイシメジなのか......
そしてキシメジとシモコシは、図鑑によっては毒きのこ扱いになっていたりする。昔から食べてるという人も、油断しないように。
この紫のきのこはムラサキシメジとして親しんでいるきのこだが、紫色のきのこもまぁとんでもなく種類が多い。
ムラサキシメジモドキ、ムラサキアブラシメジ、ムラサキアブラシメジモドキ、ムラサキフウセンタケ.........
こっちの紫色が濃いものは、ムラサキフウセンタケかと思っていたのだが、調べ直したらもっと似たものでニセムラサキアブラシメジなんてのも出てきた。
モドキの他にニセまであるだなんて。もはや呪文だ。


似たものがたくさんあると言えば、前回紹介したボリことナラタケだが、
今回もわんさと遭遇した。しかも前回とは明らかに異なる種類で2種類。
も〜〜〜〜分からん〜〜〜〜〜〜〜!!!!!
ボリは全部ボリ!!!


...と投げ出したくなってしまうが、この日もやっぱりしっかり区別しないといけない毒きのこに出会った。
名前だけなら聞いたことがある人も多いだろう、オオワライタケである。
「オオ」と付いてるだけあって、他のきのことは1段階スケールが違う大きさをしているので分かりやすい。
写真だと伝わらないが、生で見るとかなりインパクトがあるので見つけた時はつい歓声をあげてしまうきのこだ。


この日は見た目が面白いきのこもたくさん出会った。
こちらはホコリタケ。つつくとポフポフと粉が噴き出る楽しいきのこ。
キツネノチャブクロとかタヌキノチャブクロとかいくつか種類があるが、これはおそらくキツネの方。
毎年たくさん見られるきのこだが、今年は特に数が多い気がする。しかもでかい
パッと見、先ほどのホコリタケとよく似ているが、もっと小さくてかわいいこちらはマメホコリ。名前もかわいい。
きのこというより粘菌や変形菌に属するようだ。
成長してもそれほど大きくならないが、色はピンクっぽい色からだんだん黒っぽく変わっていく。
こちらはスッポンタケ。図鑑などで見ると傘の部分が黒いことが多いが、それはグレバという胞子の集合体で、雨で流れたり風で飛んだりするとこのように傘まで白いそうだ。
根本に幼菌時代のツボが残っているのもあって、ここに書くのは憚られるものを想像した人も居ると思うが...
学名の意味はそのものズバリである。気になるという人は自分で調べて欲しい。ここに書いたら連載2回目にして打ち切られてしまう。
初めて出会ったハリネズミのようなきのこ。調べてみたがまだそれらしきものに辿り着けていない。
キブリイボタケとモミジタケの小さい頃がよく似ているのだが、どちらも根本が黒く先端が白いのに対し、これは先端の方が黒くなっている。
もっと成長すれば変わってくるのかもしれない。また見に行ってみようと思う。
先に紹介したものに比べて地味な見た目だが、一番悩まされているのがこのきのこ...
このとんでもない傘の深さ! これだけ特徴的な見た目をしているのに、調べ方が悪いのか近いものが全く見つからない。
近くに同種と思われるものが生えていたが、そちらはもっと傘が浅かったので、単にこの個体だけの特徴なのかもしれないが...思い当たるものを知っているという方がいたら、Twitter(X)などで教えてもらえると嬉しい。
きのこだけでかなりの量になってしまったが、花もちゃんと見つけている。
こちらはカタバミというらしい。名前は初めて知った。
花の周辺にあるオクラのようなサヤを潰すと種が勢いよく飛び出す面白い花で、子供の頃によく遊んでいた。
そういう、ずっと1人で破壊行動をしているような子供だった...。幸い、今のところ前科はない。これからも気をつけていきたい。
スマホによるとマツヨイグサとのことだが、どうやらオオマツヨイグサとかコマツヨイグサとか種類が色々あるらしい。
きのこ同様、花の世界もなかなか大変そうである。
最後はこちら。「ヤマブドウだ!」と思った人は気をつけよう。これは死亡例もある有毒植物のヨウシュヤマゴボウ。
見た目が全然違うから間違えない?
「山に生えてるブドウのようなもの」というだけで、ヤマブドウだと思い込む筆者のような人間もいるのだ。素人を侮ってはいけない。
晩秋のきのこが顔を出し始めたので、徐々に掲載できるものが減っていくと思うが、11月中くらいはまだ何かお届けできると思う。
もっとリアルタイムの様子を知りたいという方は、 Twitter(X) でも配信中なのでそちらをご覧ください。
イグチ アイコの画像
岩手で生まれ、岩手で育ち、岩手の野山でキノコなどを探して徘徊している妖怪。主に山の話をします。本当はインドア派。
最近釣りも始めて休みがいくらあっても足りない。夢は定年退職。
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