#10 いわて里山散歩|2024年10月
2024.10.30
里山大好きライターの不定期連載「いわて里山散歩」。
今回は10月の里山の様子をお届けする。
※天候や大人の事情で更新が滞る可能性があります。ご了承ください。
※筆者はきのこ/山菜の専門家ではありません。この記事の情報だけできのこ/山菜の同定を行うのは絶対におやめください。
今回は10月の里山の様子をお届けする。
※天候や大人の事情で更新が滞る可能性があります。ご了承ください。
※筆者はきのこ/山菜の専門家ではありません。この記事の情報だけできのこ/山菜の同定を行うのは絶対におやめください。
ライター:イグチ アイコ
はい、ドーーーーン!!!
マツタケ、大量ゲットです!!
私ではなく父が!!!!!(号泣)
というわけで、筆者は大変悔しい思いをした今年の10月。みなさんはいかがお過ごしだろうか?
マツタケは残念ながら自力で見つけることは叶わなかったが、他にもたくさんのキノコを見つけることが出来たので、今月も紹介していこう。
この連載も不定期ながら1周年を迎え、以前にも登場したキノコが増えてきたが、昨年よりも詳しく紹介するので読んでもらえたら嬉しい。
マツタケ、大量ゲットです!!
私ではなく父が!!!!!(号泣)
というわけで、筆者は大変悔しい思いをした今年の10月。みなさんはいかがお過ごしだろうか?
マツタケは残念ながら自力で見つけることは叶わなかったが、他にもたくさんのキノコを見つけることが出来たので、今月も紹介していこう。
この連載も不定期ながら1周年を迎え、以前にも登場したキノコが増えてきたが、昨年よりも詳しく紹介するので読んでもらえたら嬉しい。
シメジ類の見分けは難しいという話
マツタケは父に遅れをとったが、マツタケと並び称される高級キノコ、ホンシメジを今年も発見することが出来た。
昨年見つけたものは、見た目も環境もあまりホンシメジらしくない「カヤウエッコ」と呼ばれるタイプのものだったが、今年は絵に描いたような見事なホンシメジ!
他のキノコを目当てに毎年行っている場所で初めて見つけた。これだからキノコ探しは飽きることがない。
他のキノコを目当てに毎年行っている場所で初めて見つけた。これだからキノコ探しは飽きることがない。
さらに今年は、キノコ採りの花形の1つハタケシメジに何度も遭遇!
これが今年最初に見つけたハタケシメジ。
こちらが別の日に見つけたハタケシメジ。
……見た目が全然違う……
よく食用とされているキノコの見分けはあらかた出来る自信があるのだが、こいつだけは未だに父の判断を仰がなければ同定出来ない。
どう判断しているのか尋ねたところ「ヒダがすごい密なのと、なんか、触った時の質感」とのこと。とにかくたくさん触るしか無さそうだ。
またこのハタケシメジ、素人目には見分けがつかない似たキノコも多く、中毒例も多い。
ここでクイズ! 次の写真で食べられるキノコはどれ?
……見た目が全然違う……
よく食用とされているキノコの見分けはあらかた出来る自信があるのだが、こいつだけは未だに父の判断を仰がなければ同定出来ない。
どう判断しているのか尋ねたところ「ヒダがすごい密なのと、なんか、触った時の質感」とのこと。とにかくたくさん触るしか無さそうだ。
またこのハタケシメジ、素人目には見分けがつかない似たキノコも多く、中毒例も多い。
ここでクイズ! 次の写真で食べられるキノコはどれ?
答えは②だけなのだが、クイズにしておいて申し訳ない。おそらくこの角度の写真だけで断言出来る人はキノコに詳しい人でも稀だと思う。
1つずつ紹介していこう。
1つずつ紹介していこう。
①クサウラベニタケ【毒】
先のハタケシメジや後述のウラベニホテイシメジと間違われやすい毒キノコ。
【特徴】
・傘裏が肉色(淡いピンク)
・柄が中空(中が詰まってない)
・噛んでも苦くない
※幼菌の頃は傘裏が白い場合や、柄の中が詰まっている場合もあるそうなので要注意。
【特徴】
・傘裏が肉色(淡いピンク)
・柄が中空(中が詰まってない)
・噛んでも苦くない
※幼菌の頃は傘裏が白い場合や、柄の中が詰まっている場合もあるそうなので要注意。
②ウラベニホテイシメジ【食】
苦味がクセになる美味しいキノコ。
【特徴】
・傘裏が肉色(淡いピンク)
・柄が中実(中が詰まっている)
・噛むと苦い
・傘の表面に指で押したような斑がある
【特徴】
・傘裏が肉色(淡いピンク)
・柄が中実(中が詰まっている)
・噛むと苦い
・傘の表面に指で押したような斑がある
③イッポンシメジ【毒】
ホンシメジやウラベニホテイシメジと間違えやすい毒キノコ。
【特徴】
・傘裏が肉色(淡いピンク)
・柄が中実(中が詰まっている)
・噛むと少し苦い(父が少し噛んだら舌に刺激が残った)
※地域によっては先のウラベニホテイシメジを「イッポンシメジ」と呼んで食しており、見た目も似ているので混同しやすい。
【特徴】
・傘裏が肉色(淡いピンク)
・柄が中実(中が詰まっている)
・噛むと少し苦い(父が少し噛んだら舌に刺激が残った)
※地域によっては先のウラベニホテイシメジを「イッポンシメジ」と呼んで食しており、見た目も似ているので混同しやすい。
さて、それぞれの特徴を書いてみたわけだが…
「この特徴はこっちとは違うけど、あっちとは同じ」という具合で、非常に紛らわしい。
おまけに、実際に山で見つけたものはこれらの特徴がハッキリしているとは限らない。少しでも「どっちかな?」と迷う点があれば、食べるのはやめておこう。
これら以外にもシメジと名が付くキノコはたくさんあるが、どれも見分けがとても難しい。
ちなみに現在スーパーなどで売られているシメジはほぼブナシメジと思うが、昔はシメジ科ですらないヒラタケがシメジとして売られていた。
「この特徴はこっちとは違うけど、あっちとは同じ」という具合で、非常に紛らわしい。
おまけに、実際に山で見つけたものはこれらの特徴がハッキリしているとは限らない。少しでも「どっちかな?」と迷う点があれば、食べるのはやめておこう。
これら以外にもシメジと名が付くキノコはたくさんあるが、どれも見分けがとても難しい。
ちなみに現在スーパーなどで売られているシメジはほぼブナシメジと思うが、昔はシメジ科ですらないヒラタケがシメジとして売られていた。
豹変してしまった山
毎年、キンタケ・ギンタケ・ヌラリといった美味しいキノコがたくさん出る山に今年も行ってみた。
昨年まではなだらかな斜面に苔がいっぱいに広がった美しい場所だったのだが……
昨年まではなだらかな斜面に苔がいっぱいに広がった美しい場所だったのだが……
すごく荒れていた。
何かに掘り返されたように地面はどこもデコボコで、あちこちで木の根が地表に飛び出していた。
最初はイノシシの仕業かと思ったが、あまりにも広範囲。さらに…
何かに掘り返されたように地面はどこもデコボコで、あちこちで木の根が地表に飛び出していた。
最初はイノシシの仕業かと思ったが、あまりにも広範囲。さらに…
土手の斜面にこんな大きな穴まで開いていた。
あくまでも推測だが、今年の8月に猛威をふるった台風5号によるものかもしれない。
この様子だと、今年はキノコはあまり出ないかも…と不安になりながら散策を続けると…
あくまでも推測だが、今年の8月に猛威をふるった台風5号によるものかもしれない。
この様子だと、今年はキノコはあまり出ないかも…と不安になりながら散策を続けると…
あった!ヌラリ!!(アブラシメジやヌメリササタケなどの地方名)
例年通りにたくさん顔を出していて一安心。
例年通りにたくさん顔を出していて一安心。
キンタケも発見!キンタケにいたっては、足の踏み場もないほどの大発生。
さらには、初めてショウゲンジも発見した。
ショウゲンジは昨年「きのこや おいよ」さんに勧められて食べてみたところ、大変歯切れが良く美味しいキノコだったので、自力で見つけてみたいと思っていたキノコ。今年一番嬉しい出会いだ。
美しい山が荒れてしまったのは悲しいが、キノコにとってはむしろ良い環境になったのかもしれない。
ショウゲンジは昨年「きのこや おいよ」さんに勧められて食べてみたところ、大変歯切れが良く美味しいキノコだったので、自力で見つけてみたいと思っていたキノコ。今年一番嬉しい出会いだ。
美しい山が荒れてしまったのは悲しいが、キノコにとってはむしろ良い環境になったのかもしれない。
ボリコレクション
昨年の10月に大発生していたボリ(ナラタケの仲間の俗称)。
今年は昨年よりもいろんな見た目のものに出会えたので、お見せしよう。
今年は昨年よりもいろんな見た目のものに出会えたので、お見せしよう。
地面から生えているもの、切り株から生えているもの、柄が黒っぽいもの、ツバがあるものなど、実にさまざま。
「サワモダシ」という呼び方もあることは昨年も書いたが、先日父が釣りをしている際に出会った人の話だと、沢に出るから「サワモダシ」で、沢以外の山中に出るものは「◯◯モダシ」と別な名称があるそうで……
しかし肝心の◯◯の部分を父は忘れてしまった。ご存知の方はぜひ教えて欲しい。よろしくお願いします。
「サワモダシ」という呼び方もあることは昨年も書いたが、先日父が釣りをしている際に出会った人の話だと、沢に出るから「サワモダシ」で、沢以外の山中に出るものは「◯◯モダシ」と別な名称があるそうで……
しかし肝心の◯◯の部分を父は忘れてしまった。ご存知の方はぜひ教えて欲しい。よろしくお願いします。
その他、10月に見つけたキノコたち
昨年大発生していたアミタケは、今年も豊作。
左:加熱前 右:加熱後
アミタケは熱を加えると色が変わる不思議なキノコ。
洋野町の会社がレバ刺しに見立てた商品を出しているので、食べたことがある人も多いだろう。
ちなみにそのままだと、特にレバーの味はしない。
洋野町の会社がレバ刺しに見立てた商品を出しているので、食べたことがある人も多いだろう。
ちなみにそのままだと、特にレバーの味はしない。
アミタケと必ずと言って良いほどセットで生えているオウギタケは、アミタケとは見た目も種類も全く異なるキノコ。こちらは加熱しても特に色に変化はない。
なんでもオウギタケはアミタケに寄生して育つため一緒に生えているそうなのだが、まるでこの2種の間に生まれたかのような特徴をもつキノコがある。
なんでもオウギタケはアミタケに寄生して育つため一緒に生えているそうなのだが、まるでこの2種の間に生まれたかのような特徴をもつキノコがある。
それがこのクギタケ。
ヒダが疎(あらい)で垂生で、形はオウギタケに似ているが、色や柄の質感はアミタケにそっくりで、これも加熱すると赤紫っぽい色に変わる。
先の2種との関係はよく分からないが、どれも美味しいキノコであることは間違いない。
ちなみにクギタケはオウギタケ科。
ヒダが疎(あらい)で垂生で、形はオウギタケに似ているが、色や柄の質感はアミタケにそっくりで、これも加熱すると赤紫っぽい色に変わる。
先の2種との関係はよく分からないが、どれも美味しいキノコであることは間違いない。
ちなみにクギタケはオウギタケ科。
色が変わるといえばこちらのハツタケ。昨年は大発生していたが今年はそこそこ。
こちらは加熱ではなく傷が付くと青緑色になる。
厳密には傷が付くと赤色の液体が出て、その液体が青緑色に変わるので、素手で採取すると手が赤く染まる。 なかなか取れないので採取の際は軍手必須だ。
美味しい出汁が出るキノコだが食感はボソボソ。お吸い物とかにする場合は出汁だけ使うことをオススメする。薄く切って炊き込みご飯にすれば食感も気にならず美味しく食べられる。
色といえば、今年は紫色のキノコで特徴がハッキリしたものをいくつか見つけられた。
厳密には傷が付くと赤色の液体が出て、その液体が青緑色に変わるので、素手で採取すると手が赤く染まる。 なかなか取れないので採取の際は軍手必須だ。
美味しい出汁が出るキノコだが食感はボソボソ。お吸い物とかにする場合は出汁だけ使うことをオススメする。薄く切って炊き込みご飯にすれば食感も気にならず美味しく食べられる。
色といえば、今年は紫色のキノコで特徴がハッキリしたものをいくつか見つけられた。
まずは毎年同じ場所で見つけているムラサキシメジ。
なかなかエグい見た目の芋虫がごろごろ入るキノコなので、見た目の美しさに油断しているとビックリする。
虫耐性はある方だと思うが、ナイフで切った瞬間に数匹ボトボト飛び出した時はさすがに叫んだ。
なかなかエグい見た目の芋虫がごろごろ入るキノコなので、見た目の美しさに油断しているとビックリする。
虫耐性はある方だと思うが、ナイフで切った瞬間に数匹ボトボト飛び出した時はさすがに叫んだ。
こちらのとても美しいキノコは、おそらくニセムラサキアブラシメジ。
食べられるという情報もあったが、見慣れている人でも見分けがつかないほどよく似たキノコでとんでもなく不味いものがあるらしいので、写真だけ撮ってさよならした。
食べられるという情報もあったが、見慣れている人でも見分けがつかないほどよく似たキノコでとんでもなく不味いものがあるらしいので、写真だけ撮ってさよならした。
こちらの気品あふれるキノコはムラサキフウセンタケ。光沢のあるビロード状の傘がキレイ。
手持ちの図鑑では食用となっていたが、最近毒成分が含まれていると分かったらしいので、こちらも写真を撮るだけに留めた。
手持ちの図鑑では食用となっていたが、最近毒成分が含まれていると分かったらしいので、こちらも写真を撮るだけに留めた。
次は食べられるキノコ。数年ぶりに見つけたカノシタ。
漢字で書くと「鹿の舌」。フランスでは「ピエドムートン」と呼ばれていて意味は「羊の足」らしい。
フランスでは高級キノコとして愛されていて、コリコリとした食感が美味しい。
漢字で書くと「鹿の舌」。フランスでは「ピエドムートン」と呼ばれていて意味は「羊の足」らしい。
フランスでは高級キノコとして愛されていて、コリコリとした食感が美味しい。
キンタケと同じくらい今年大発生しているのが、こちらのクロカワ。
かなり大きくなっても落ち葉の下に隠れているので、生えるポイントを知らないとまず見落とす。
これを薄く切って焼き、さっと塩をかけて食べ、日本酒をクイッとやると……とんでもなく美味い。大人の味。
あまり酒は得意ではないのだが、クロカワが採れたら必ず日本酒を買うようになった。
かなり大きくなっても落ち葉の下に隠れているので、生えるポイントを知らないとまず見落とす。
これを薄く切って焼き、さっと塩をかけて食べ、日本酒をクイッとやると……とんでもなく美味い。大人の味。
あまり酒は得意ではないのだが、クロカワが採れたら必ず日本酒を買うようになった。
あれ?またクロカワ??と思ったこのキノコ。なんだか様子が違う。
裏を見れば一目瞭然。こちらはヤギタケというキノコ。滅多に出会えない。
傘の表と柄は黒色で、傘裏は白というツートンカラーがかっこいい!
まだ食べていないが、ハタケシメジに似た美味しいキノコらしい。崩れやすいのでキレイな状態で持ち運べないのが難点。
傘の表と柄は黒色で、傘裏は白というツートンカラーがかっこいい!
まだ食べていないが、ハタケシメジに似た美味しいキノコらしい。崩れやすいのでキレイな状態で持ち運べないのが難点。
左:ハナイグチ 右:クロラッパタケ
昨年も紹介したハナイグチとクロラッパタケは、一応今年もいくつか発見できたのだが、どちらも不作のようだ。
特にハナイグチは2年連続不作。それ以前はカラマツ林に行けば必ず見つかるというほど、いくらでも生えているキノコだったのだ。
もしかしたら夏の暑さが影響しているのかもしれない。
特にハナイグチは2年連続不作。それ以前はカラマツ林に行けば必ず見つかるというほど、いくらでも生えているキノコだったのだ。
もしかしたら夏の暑さが影響しているのかもしれない。
キノコの他にも、ムカゴやリンドウ、アカハライモリなど色んな出会いがあった10月の里山。
すでにクリタケなどの晩秋のキノコも顔を出し始めているので、来月も散歩が楽しみだ。
すでにクリタケなどの晩秋のキノコも顔を出し始めているので、来月も散歩が楽しみだ。
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