MENU
真のハロウィンをやってみようの画像
真のハロウィンをやってみよう
2023.10.25
もうすぐハロウィン。
まだ日本に浸透して間もないこの祝祭の、真実に迫って実践してみようと思う。
ライター:イグチ アイコ
そもそもハロウィンとは?
クリスマスほどではないが、季節の行事として馴染みが深くなってきたハロウィン。
主に子供たちがお化けに仮装して、近所の家を練り歩いてお菓子をもらうという行事だ。

しかし毎年のように都会での騒ぎがニュースとなり、少々イメージが悪くなってしまっている。モノノケの類が好きな筆者としては、これはちょっと悲しい。
おそらく本来のハロウィンはそんな悪いイメージとは無縁のはずだ。
ということで、ハロウィンとはどういう祭りなのかを少し調べてみた。
起源はケルトの祝祭「サウィン祭」
ハロウィンは元々、古代ヨーロッパの住民「ケルト人」の新年を祝う行事。その名を「サウィン祭」と言うらしい。
11月1日から新年が始まり、今ハロウィンの日とされている10月31日は前夜祭。日本の大晦日にあたる。
日本人からすると11月から新年が始まるのは不思議な感じがするが、これはケルトでは1年を「夏=光の季節」と「冬=闇の季節」の2つに分けているからで、「収穫期の終わりが1年の終わり」と考えれば、むしろ日本の新年よりも分かりやすい。

諸説あるらしいが、キリスト教が異教徒を取り込む際に、この日をキリスト教の「万聖節」の日としたことから「ハロウィン」という名に変わったと言われている。
仮装の理由
前述のとおり、サウィンは収穫期の終わりに行われるため「夏の収穫を祝う行事」であるのだが、同時に「死者の魂が現世に帰ってくる日」ともされていた。
つまり正月でありながらお盆でもあるわけだ。「盆と正月が一緒に来る」とはまさにこのこと。なんとめでたい。

しかし、ただ先祖の霊が帰ってくるだけという生優しいものではなく、あの世とこの世が繋がり異界のものがやってくるという考え方だったようで、悪さをする精霊から身を守るために、自分たちも妖精や精霊に扮装したということらしい。
お菓子を配る理由
ハロウィンのおなじみのフレーズ「Trick or Treat(お菓子をくれなきゃいたずらするぞ)」。
こちらの起源はどうやら、サウィン祭ではなく「ハロウィン」と名を変えてからにあるようだ。
11月1日の「万聖節(諸聖人の日)」の後に、カトリックでは11月2日に「万霊節(死者の日)」があり、イギリスでは10月31日〜11月2日の3日間「ソウルケーキ」というクッキーのようなお菓子を、死者の魂に祈りを捧げながら食べたそうだ。

そしてその期間に、子供や貧しい人々が各家庭を回って讃美歌を歌って祈りを捧げに来るらしく、彼らにもこのソウルケーキを振る舞ったとのこと。
ここだけ見れば岩手でも似た風習がある。筆者も子供の頃、子供会でお神輿を担いで地域を回り、行く先々でお菓子をもらった記憶がある。
結局何をする日?
このようにサウィン祭からハロウィンへと変わり、さらに全世界に広がっていく中で様々な変化があったようだが、ざっとまとめると
  • かがり火を焚き、収穫物や家畜などの供物を捧げて収穫に感謝する
  • ソウルケーキを食べて、先祖などの霊に祈りを捧げる
  • 野菜で作ったランタンで悪霊を追い払う
  • 異界のものに扮して身を守る
といったあたりが、現在も残る行事の原型と言えると思う。
ということで、今回はこれらを実践してみよう。
ソウルケーキを作る
使う材料は薄力粉・グラニュー糖・卵・バター・牛乳・ベーキングパウダーと、ここまではいたって普通のクッキーの材料。
少し変わっているのは「オールスパイス」を結構多く入れること。写真の右下の茶色い粉がそれだ。

これらを全部混ぜると
こうなる。
そして麺棒で伸ばしたのが
この状態。
これを型で抜いていくわけだが……

ここで大変なことに気付いた。

我が家にはクッキー型がなかった。

まぁ丸く抜けりゃいいだろ。ということで、ビール用のタンブラーでやってみよう。
うん、いけそう。


…………あっ!!!!
…ま、まぁ、ちょっとトラブルはあったが、
なんとか上手いことほじくって、丸く抜くことに成功した。
これに十字の切り込みを入れて、オーブンで15分ほど焼くと…
完成!!

見た目はかなり良い感じだ。どれ、ちょっと一口……


うっっっま!!!!


正直言って微妙な味になるとばかり思っていたのだが、衝撃的な美味さ。
ハロウィンじゃなくても、普通にしょっちゅう食べたい。また作ろう。
ランタンを作る
続いてはハロウィンの象徴でもあるカボチャのランタン…
ではなく、今回は「カブ」でランタンを作る。

カボチャを使うようになったのは、アイルランドの人々がアメリカに移住した後、アメリカでよく収穫されていたカボチャを使うようになったかららしい。
それ以前に使っていたのはカブ。正確にはカブよりもっと大きな別の野菜らしいのだが、日本では馴染みのない野菜のため、その野菜と似たカブで訳されたようだ。
ということで、まずはカブの中身をくり抜く。
スプーンでも結構サクサク掘ることができる。
中身を抜いたら、軽く下書きをして顔を抜いていく。
カボチャよりずっと皮が薄いので、こちらも楽に抜くことができた。
完成!!!

こちらもなかなか良い感じ。ロウソクを入れるのが楽しみだ。
仮装をする
仮装については…
いつものこれで十分だろう。
かがり火に供物を捧げる?
さて小道具が揃ったところで、メインの儀式の準備を始めようと思うが…

キャンプ場でも借りない限り、かがり火なんて盛大なものは焚けない。やれてもせいぜい焚き火程度だろう。
供物についても、うちは畜産業ではないので用意できるのは切り身程度。

その規模で再現するとなると…

それは……


…バーベキューじゃないのか…???


しかし、バーベキューだって個人が自宅でするのはなかなかハードルが高い。
バーベキューセットがどの家にもあるわけではないし、セッティングも大変だ。
何より1人で庭でバーベキューをしている様は、かなり怪しい。
キャンプ道具を使えばソロキャンプっぽくてかっこいいが、それこそ道具を揃えるのが大変である。
待てよ?


岩手にはそのハードルを全て解消できる文化があるじゃないか!!!


そう


バケツジンギスカンである!!!!!

 
バケツジンギスカンは遠野の文化だが、某全国の都道府県を紹介する番組などで知名度も上がり、最近では県内のホームセンターで普通に売られている。
遠野まで足を伸ばせば、精肉店等でお肉を購入した際にバケツと鍋を無料で貸し出ししてくれるところもある。
ということで、バケツジンギスカンセットを用意した。
これならバケツの中に入れた固形燃料に火をつけるだけで簡単に供物を捧げることができるし、1人でやっていてもそれほど不自然ではないだろう。
(煙はすごく出るので、アパートや密集した住宅地にお住まい方は、すみませんが場所を探してください)
真・ハロウィン実践!
準備が整った。さぁ祝祭を開始しよう。

ランタンに火を灯して……
か…かわいい〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!


え、すっごいかわいい。カブの中に火を入れただけでこんなにかわいくなるなんて。
作るのも楽だし、またカブを主流にしても良いのではないか。
ただ、小さいのですぐに煮えてしまうことが難点。
お肉もお野菜も、すごく美味しい。いやがおうでも収穫への感謝が高まる。
こんな幸せを味わえるのも先祖のおかげ。祖先の霊にも感謝だ。



ただ



すっっっごく寒い。



ぜひみなさんにもハロウィンの日には、防寒対策をしっかりしてバケツジンギスカンを楽しんでもらいたい。
数年後に「岩手ではなぜかハロウィンの日にバケツジンギスカンをする」という風習が根付いていたら面白いからだ。

本来の主旨とはちょっと変わってしまったが...
どうでしょう? 岩手ならではのハロウィン。



ー 完 ー
イグチ アイコの画像
岩手で生まれ、岩手で育ち、岩手の野山でキノコなどを探して徘徊している妖怪。主に山の話をします。本当はインドア派。
最近釣りも始めて休みがいくらあっても足りない。夢は定年退職。
  • Twitter
関連記事
おすすめ
テレいわ屋は「旬」の情報を発信中!
岩手のグルメ・観光スポット・イベント情報・おすすめのレシピなどをお届けします。
ブックマークやホーム画面に追加して情報をチェックしよう!
  • Twitter