小正月にみずき団子を飾ってみよう!
2025.01.09
あけましておめでとうございます。
日常に戻りたくない、まだ正月気分を味わっていたい皆さん、岩手の小正月を「みずき団子」で彩って現実逃避しよう!
日常に戻りたくない、まだ正月気分を味わっていたい皆さん、岩手の小正月を「みずき団子」で彩って現実逃避しよう!
ライター:イグチ アイコ
「みずき団子」とは?
昨年12月某日、突然父が私に言った。
「おい、みずき団子やらねぇか?」
説明しよう、みずき団子とは…
小正月に木の枝に団子を刺して飾り、五穀豊穣を祈る伝統行事である!
全国的には「もち花」と呼ばれてヌルデやヤナギの木を使用するそうだが、岩手ではミズキの木を使用するため「みずき団子」と呼ばれているらしい。
「おい、みずき団子やらねぇか?」
説明しよう、みずき団子とは…
小正月に木の枝に団子を刺して飾り、五穀豊穣を祈る伝統行事である!
全国的には「もち花」と呼ばれてヌルデやヤナギの木を使用するそうだが、岩手ではミズキの木を使用するため「みずき団子」と呼ばれているらしい。
お店や公共施設などで飾っているところも多いので、実際にやったことはなくても見たことがある人がほとんどと思う。
筆者も幼少時に子供会で地域のお宅にお邪魔した際に見たことはあるが、自宅で行ったことはなかった。
何なら「小正月」すらよく分かってなかった。てっきり節分の頃にやるものかと思ったらそれは「旧正月」であった…。
元日から1月7日あたりまでを「大正月」と呼び、1月15日あたりを「小正月」と呼ぶとのこと(期間は諸説あり)。
岩手の小正月の行事としては他に、「どんと焼き」や「裸参り」、沿岸部の「スネカ・ナモミ」などがある。
筆者も幼少時に子供会で地域のお宅にお邪魔した際に見たことはあるが、自宅で行ったことはなかった。
何なら「小正月」すらよく分かってなかった。てっきり節分の頃にやるものかと思ったらそれは「旧正月」であった…。
元日から1月7日あたりまでを「大正月」と呼び、1月15日あたりを「小正月」と呼ぶとのこと(期間は諸説あり)。
岩手の小正月の行事としては他に、「どんと焼き」や「裸参り」、沿岸部の「スネカ・ナモミ」などがある。
ミズキの木を伐る
そもそもなぜ筆者の父がみずき団子を提案してきたのかというと、
我が家の庭にいつの間にかミズキの木が生えていたからである。
我が家の庭にいつの間にかミズキの木が生えていたからである。
こちらがそのミズキの木。枝が赤くてかっこいい。
私は全く存在に気付いていなかったが、すっかり成長して隣家に侵食する勢いになっていた為そろそろ伐ろうと思っていたそうだ。では遠慮なく使わせてもらおう。
私は全く存在に気付いていなかったが、すっかり成長して隣家に侵食する勢いになっていた為そろそろ伐ろうと思っていたそうだ。では遠慮なく使わせてもらおう。
年の瀬にミニ門松を作った際、竹を伐るのに大変苦労をしたので気合いを入れて臨んだが、拍子抜けするほどすんなりと刃が入り簡単に伐ることが出来た。
これなら木さえ見つかれば、誰でも簡単に用意することが出来るだろう。
伐った後は団子を刺すので枝を水拭きしておく。
そんなに汚れているようには見えなかったが、布が真っ黒になるほど土埃が付いていた。
これなら木さえ見つかれば、誰でも簡単に用意することが出来るだろう。
伐った後は団子を刺すので枝を水拭きしておく。
そんなに汚れているようには見えなかったが、布が真っ黒になるほど土埃が付いていた。
団子に色を付ける材料を探す
岩手のみずき団子はカラフルなものが多い。白・赤・緑・黄の4色のケースが多そうなので、それぞれ作ってみよう。
染色は食紅を使うのが一般的なようだが……この為だけに食紅を買って余っても困るし、何よりそれではつまらない。
いつものように野山で採取も考えたのだが、この季節は山も畑も枯草ばかり。家の中にあるものだけでやってみよう!
染色は食紅を使うのが一般的なようだが……この為だけに食紅を買って余っても困るし、何よりそれではつまらない。
いつものように野山で採取も考えたのだが、この季節は山も畑も枯草ばかり。家の中にあるものだけでやってみよう!
赤
最初に思いついたのは唐辛子。畑で採れたものがいっぱいある。
しかし団子を染めるとなるとおそらく粉末にする必要がある。うっかり飛び散ろうものなら惨劇となりそうだ。
悩んでいると母がある食材を持って来た。
しかし団子を染めるとなるとおそらく粉末にする必要がある。うっかり飛び散ろうものなら惨劇となりそうだ。
悩んでいると母がある食材を持って来た。
近所の産直で買ったという謎の赤い大根。
品種を聞いてみたが「紅って書いてた気がする…」くらいしか分からなかった。
名前は分からないが、「オシャレなカフェのサラダとかに薄くスライスされて乗っかってるアレ」だと思われる。
赤いとはいえ大根。果たして団子を染められるほど色が出るだろうか?と思いつつ、とりあえずすりおろしてみると……
品種を聞いてみたが「紅って書いてた気がする…」くらいしか分からなかった。
名前は分からないが、「オシャレなカフェのサラダとかに薄くスライスされて乗っかってるアレ」だと思われる。
赤いとはいえ大根。果たして団子を染められるほど色が出るだろうか?と思いつつ、とりあえずすりおろしてみると……
なかなかにエグい見た目。
これならば十分に色が付きそうだ。
これならば十分に色が付きそうだ。
緑
緑は色々と選択肢がありそうだ。カブの葉っぱにしようか、春菊にしようか……と考えていると、やはり母が冷凍庫から食材を取り出した。
畑で採れたパセリを冷凍保存しておいたもの。
なるほどしっかりと色が付きそうだ。こちらもすりおろしてみる。
なるほどしっかりと色が付きそうだ。こちらもすりおろしてみる。
最初はミキサーを使ってみたのだが、量が少なかったのか飛び散るばかりでうまくいかなかったのですり鉢を使用。
パセリの香りがすごい……。
パセリの香りがすごい……。
黄
一番悩んだのが黄色。いつもなら畑で採れたカボチャがまだあったかもしれないが、去年はうまく育たなかったそう。
するとまたしても母が、どこからともなく食材を取り出して来た。
するとまたしても母が、どこからともなく食材を取り出して来た。
かぼちゃフレーク。
あまり既製品は使いたくないが、背に腹は変えられない。どこで購入したものか聞いてみると、
「おばあちゃんの家(現在空き家)の冷蔵庫にあった」
とのこと。
………ちょっと待って。筆者の祖母は6年前に亡くなっている。
あまり既製品は使いたくないが、背に腹は変えられない。どこで購入したものか聞いてみると、
「おばあちゃんの家(現在空き家)の冷蔵庫にあった」
とのこと。
………ちょっと待って。筆者の祖母は6年前に亡くなっている。
……Oh……
…まぁ乾燥してるし、消費期限ではないし…
見なかったことにしよう。(マネしないでください)
…まぁ乾燥してるし、消費期限ではないし…
見なかったことにしよう。(マネしないでください)
団子を作る
続いて枝に刺す団子を作ろう。団子の形にする前に、先ほどの染料を使って色を付けながら生地を作っていく。
入れるものによって水分量が違うので、手で触った感覚だけを頼りに少しずつ水も加えて生地をこねこね。
4色分の生地が完成!
大根が思った以上に水分が多く、少しネチョネチョになってしまったが、色は十分に付けることが出来た。
大根が思った以上に水分が多く、少しネチョネチョになってしまったが、色は十分に付けることが出来た。
あとは十五夜の記事の際に作った月見団子と同じように、一口大にちぎって丸めていく。
大きさに変化があった方が面白いと思い、大きめのものと小さめのものを作ってみた。
大きさに変化があった方が面白いと思い、大きめのものと小さめのものを作ってみた。
丸めた団子を沸騰したお湯に落として、浮いてくるまで茹でる。
沸騰のボコボコに踊らされて、浮いているのか浮かされているのか分かりづらいが、鍋の端の方に流れてきてもまだ浮いていたらまぁOKだろう。
沸騰のボコボコに踊らされて、浮いているのか浮かされているのか分かりづらいが、鍋の端の方に流れてきてもまだ浮いていたらまぁOKだろう。
こちらが茹であがった状態。
予想よりかなり色が濃くなってしまったが、むしろこのくらいでちょうど良かった。
予想よりかなり色が濃くなってしまったが、むしろこのくらいでちょうど良かった。
最後に片栗粉をまぶしてくっつかないようにしてやる。
これにより、濃すぎた色がちょうど良い具合に落ち着いた。
しかし、白色は十五夜の時と同じ団子粉と水だけで作ったはずなのに、なんだか歪な形になってしまったのは何故だろう……。
これにより、濃すぎた色がちょうど良い具合に落ち着いた。
しかし、白色は十五夜の時と同じ団子粉と水だけで作ったはずなのに、なんだか歪な形になってしまったのは何故だろう……。
団子を飾る
いよいよ今回のメイン。ミズキの木に団子を刺して飾り付ける。
と言っても、ただ枝に団子を刺すだけ。
と言っても、ただ枝に団子を刺すだけ。
はい完成!!
思ったよりも団子が重いので、枝の先の方よりも幹に近い方から刺して行った方が安定して作業しやすいと感じた。
また4色ほぼ同じ数で作成したが、白を少し多めにした方が色のバランスは良かったかもしれない。
木に団子を刺すだけではあるが、普段は半分物置状態の我が家の和室がとても華やかになった。
地域によっては団子以外の飾りも下げるところもあるようなので、クリスマスツリー感覚で好きに飾りつけるのも楽しそうだ。時間がある人はぜひやってみて欲しい。
あとはこれを数日飾っておく。
期間も地域によって異なるが、1月15日〜20日頃まで飾っておくところが多いようだ。
思ったよりも団子が重いので、枝の先の方よりも幹に近い方から刺して行った方が安定して作業しやすいと感じた。
また4色ほぼ同じ数で作成したが、白を少し多めにした方が色のバランスは良かったかもしれない。
木に団子を刺すだけではあるが、普段は半分物置状態の我が家の和室がとても華やかになった。
地域によっては団子以外の飾りも下げるところもあるようなので、クリスマスツリー感覚で好きに飾りつけるのも楽しそうだ。時間がある人はぜひやってみて欲しい。
あとはこれを数日飾っておく。
期間も地域によって異なるが、1月15日〜20日頃まで飾っておくところが多いようだ。
団子を食べる
――数日後。
せっかくなので飾り終えた団子を食べるところまでやってみる。
そのまま焼いて食べるか、揚げておかきにするのが主流のようなので、おかきにしてみよう。
と、軽い気持ちで団子を木から取り外そうとしたところ、カチカチに固まっていて全然外れない!!
事前に調べた際、団子の作り方や食べ方の説明はいくつか見つかったのだが、外し方について書かれているものは見つけられなかった。
せっかくなので飾り終えた団子を食べるところまでやってみる。
そのまま焼いて食べるか、揚げておかきにするのが主流のようなので、おかきにしてみよう。
と、軽い気持ちで団子を木から取り外そうとしたところ、カチカチに固まっていて全然外れない!!
事前に調べた際、団子の作り方や食べ方の説明はいくつか見つかったのだが、外し方について書かれているものは見つけられなかった。
悩んだ末、ペンチで無理やり割ることにした。
もっと普通のペンチもあったはずなのだが、すぐ見つかったのがこれだった。一気に「風習」ではなく「因習」のような雰囲気に…。
とりあえず割れたからOK!と団子を次々と外していくと、またしても問題が。
もっと普通のペンチもあったはずなのだが、すぐ見つかったのがこれだった。一気に「風習」ではなく「因習」のような雰囲気に…。
とりあえず割れたからOK!と団子を次々と外していくと、またしても問題が。
これは………カビ???
母に相談したところ
「ああ!正月の飾り餅ってのはね、カビを取って食べるもんなのよ!!」
そうだろうか?????
令和ももう7年になったというのに、ものすごい昭和パンチをくらった。
まぁ、カビのところだけ取り除いて油で揚げればなんとか……
※※※注意※※※
カビは目に見えないところまで菌が繁殖している可能性があります。
カビ毒は熱に強く、火を通しても分解されないそうです。
食べる場合は自己責任で!!!
母に相談したところ
「ああ!正月の飾り餅ってのはね、カビを取って食べるもんなのよ!!」
そうだろうか?????
令和ももう7年になったというのに、ものすごい昭和パンチをくらった。
まぁ、カビのところだけ取り除いて油で揚げればなんとか……
※※※注意※※※
カビは目に見えないところまで菌が繁殖している可能性があります。
カビ毒は熱に強く、火を通しても分解されないそうです。
食べる場合は自己責任で!!!
ということで揚げてみた。
これも入れた材料によって多少差があり、大根のは焦げやすかったので気をつけよう。
これも入れた材料によって多少差があり、大根のは焦げやすかったので気をつけよう。
おかき完成!!!
塩を振ったりスープに浮かせて食べようかと思っていたのだが、このままでも結構うまい。特に甘みは加えてないのだが、優しいサーターアンダギーという感じ。
パセリが一番不安だったが、よもぎと言われて食べたら疑わないくらいよもぎと近い味だった。
まだいっぱいあるので、少しずついろんな食べ方を試していこうと思う。
皆さんはくれぐれも、安全な食材で、カビさせずに成功したお団子で試してみて頂きたい。
本年もよろしくお願いします。
塩を振ったりスープに浮かせて食べようかと思っていたのだが、このままでも結構うまい。特に甘みは加えてないのだが、優しいサーターアンダギーという感じ。
パセリが一番不安だったが、よもぎと言われて食べたら疑わないくらいよもぎと近い味だった。
まだいっぱいあるので、少しずついろんな食べ方を試していこうと思う。
皆さんはくれぐれも、安全な食材で、カビさせずに成功したお団子で試してみて頂きたい。
本年もよろしくお願いします。
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