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#1 いわて里山散歩|2023年10月前半の画像
#1 いわて里山散歩|2023年10月前半
2023.10.19
里山大好きライターの不定期連載「いわて里山散歩」。
県央〜県南あたりを中心に、筆者が休日に歩いた里山や田畑の畦道などの様子をお送りしていく。
山を歩かない人は自分で散歩しているような気持ちで、山を歩くという人は他の山の状況把握として見てもらえたら嬉しい。

今回は10月1日〜10月14日頃の里山の様子をお届けしよう。
※天候や大人の事情で更新が滞る可能性があります。ご了承ください。
ライター:イグチ アイコ
10月1日の里山の様子
ボリ、爆発!!!!!!
この日、筆者の自宅周辺の野山では、「ボリ」こと「ナラタケ(広義)」が大量発生した。
それはもう、1歩山に入れば足の踏み場もないという有様。

岩手では「ボリ」「ボリボリ」の他に「サワモダシ」「サモダシ」など呼び名がある、比較的メジャーなきのこ。
柄を手で折れば「ボリッ」と音がし、非常に美味しいダシが出る特徴から、こう呼ばれてるのではないかと思う。
この時期のきのこそばやきのこ汁に入っている、歯応えが良くて何かよく分からないきのこは、ほぼこれの可能性が高い。それくらい人気のきのこだ。

そんな人気のきのこも、あまりに大量にあると見向きもされないのか...
こんな道端の、誰でも見つけられる場所にあっても見向きもされず、数日後にここを通ったらそのまま干からびてしまっていた。

ちなみに先ほど「ナラタケ(広義)」という書き方をしたが、ナラタケには実は非常に多くの種類がある。
「ヤチナラタケ」だの「オニナラタケ」だの「ナラタケモドキ」だの...生える時期が違ったり、ツバがあったりなかったり...いろいろと細かい違いがあるようなのだが......

田舎では全部ひっくるめて「ボリ」だ。
こういう東北人のやんべなところ、私は大好きだ。

ちなみにこの頃、急に最低気温が下がり始めた時期だったのでボリも出てきたのだと思うが、
山の様子はまだまだ秋には程遠い感じ。
その証拠に...
「チチタケ」といった夏のきのこもまだまだ元気に生えていた。
写真のように傷がついたところから、白い乳のような液体が出るので「チチタケ」。ナスと煮込むと美味い。

一方で、秋のきのこも少しずつ顔を出し始めていた。
おそらく「ヌメリイグチ」の幼菌。岩手では「アンパン」などと呼ばれたりする。
すぐに大きくなりナメクジが好むので、見た目が良いものにはなかなか出会えないが、小さい頃は大変かわいらしい。
他にも見た目が楽しいきのこをいくつか。
こちらはおそらく「ノウタケ」の幼菌。
大きくなると傘にシワが出来て脳みそのような見た目になってしまうが、この頃だと「誰かが落としたパンか?」と見間違うほどフカフカ。
鮮やかな赤が苔に映えて、とてもキレイだったきのこ。
この手の傘が赤く柄が白いきのこは、似た見た目の種類がたくさんあり、筆者は全く見分けがつかない。
毒があるものがほとんどのようなので、もっぱら見て楽しむようにしている。
筆者の得意分野ではないが、せっかく里山を歩くのだからきのこだけではなく花にも触れていこう。
ちょうど彼岸花が咲き始めた頃だった。
よく見るとどこに行っても、田んぼや畑を囲むように生えており不思議に思っていたところ、モグラなどの作物を荒らす動物対策として植えられているそうだ。
毒があることは最近有名なので筆者も聞き及んでいたが、なるほどそういう活用方法があるのか。昔の人の知恵はすごい。
キレイだと思って撮ったものの、全く分からない花。
しかし最近の文明もすごい。写真があればスマホで簡単に調べることができる。
それによると「ギボウシ」のようだ。真偽のほどは分からない。
ギボウシならば山菜のウルイでもあるみたいだ。春になったらまた行ってみようと思う。
こちらもスマホによると、「ミヤコグサ」とのこと。
花はそれなりに写っていればしっかり結果が出てくれて嬉しい。
きのこでは全く出てくれない...
10月7日の里山の様子
1週間後、いよいよ秋のきのこが動き始めた。
まずは「サクラシメジ」。秋が始まったと感じさせてくれるきのこの1つだ。
タイミングが合えば毎年たくさん見られるきのこだが、今年は特に多いらしい。
こちらは「アミタケ」と「オウギタケ」。
オレンジ色っぽい方がアミタケで、「あみっこ」と呼ばれて産直にも並ぶことが多いきのこだ。
火を通すと赤紫っぽい色に変わってしまうので、そっちの色しか馴染みがない人も多いかもしれない。
傘が赤っぽい方がオウギタケ。アミタケとよく一緒に生えている。
こちらは「ハツタケ」。
筆者は今まで、まとまって生えているのに出会ったことがなかったのだが、今年は大群生に遭遇できた。
触ったところが青緑色に変色し、間違えづらいきのこなのと、良いダシが出るので食用として人気が高い。
青緑色に染まった時の見た目は...なかなかに強烈だが。
また見た目が楽しいものをいくつか発見した。
図鑑で調べた感じだと、おそらく「キソウメンタケ」。
まったくきのこらしい見た目をしていないが、そういうきのこは結構多い。
こちらはおそらく「アオイヌシメジ」。青いきのこも結構種類がある。
これはもしかしたら「チシオタケ」だったかもしれない。
傷が付くと血のような赤い液体が出るきのこなのだが、触らなかったのでハッキリとは分からない。
水に濡れてツヤツヤしてると、ガラス細工のようでとてもかわいい。
一際目を引いたのがこちら。おそらく「カラカサタケ」で、巨大になったものがニョキニョキたくさん生えていた。
実は食べられるらしいのだが、このタイプの形状のきのこはかなり危険な毒きのこが多数あるので、とても試してみる気にはなれない。
この週もかわいい花をいくつか見つけた。
スマホ調べによると「ゲンノショウコ」。とても小さく、足元で健気に咲いていた。
こちらは「アキノキリンソウ」と出た。キリンと麒麟どっちなのだろう...
「アキノ」というくらいだから「ハルノキリンソウ」とかもあるのだろうか。
10月14日の里山の様子
この1週間ほどの間で一気に秋が進み、葉が色づいてきた。
これはきのこも期待できそう。
この日最初に出迎えてくれたのは、こちらの美味しそうなきのこ。匂いも美味しそうだった。
しかし種類が全く分からない。こういうきのこらしい見た目をしたきのこが一番同定しづらい。
こちらはとても分かりやすい「クロカワ」というきのこ。
苦みがあるのだが毒ではない。酒好きの人の間では、マツタケより人気があるなんて話も聞く。
一方この「ケロウジ」は、苦すぎてとても食えたものではないきのこ。
マツタケと同じ環境に生えるらしいのだが、これが生えた山ではもうマツタケは採れないと言われて嫌われているようだ。
だが、同じ環境に生えるということは......
根気よく探せば、まだ生き残っているマツタケもある可能性がある、ということでもある。
高級云々を抜きにしても、どっしりとした佇まいは風格があって、やはり見つけると嬉しい。

そんな中、目を引いて楽しませてくれたのが
こちらの鮮やかなきのこ。調べてみたが残念ながら同定はできなかった。
でもかわいいからヨシ!
一方、こちらは不気味でかっこいいきのこ。
調べたみたらどうやら「クロラッパタケ」で、ヨーロッパでは人気の食材だった。
今年はこれも結構見かける。
さて、この日に見つけた花は...
これはさすがに私でも分かる。リンドウだ!
だが野生のものを見るのは、結構珍しいのではないだろうか。美しい。
最後にちょっと面白いものを......
SNSなどで時々話題になる、天然のエビフライ。
正体はリスによる松ぼっくりの食べカスだ。
こんな面白いものも大量に見つかるので、やっぱり里山歩きはやめられない。

10月後半の様子も、また次回にお届けできたらと思う。
気に入ってもらえたら、また見てもらえると嬉しい。
もっとリアルタイムの様子を知りたいという方は、 Twitter(X) でも配信中なのでそちらをご覧ください。
連日、クマによる被害の報道が続いている。
人里での被害も多い。散歩や庭仕事の時も十分に注意しよう。
イグチ アイコの画像
岩手で生まれ、岩手で育ち、岩手の野山でキノコなどを探して徘徊している妖怪。主に山の話をします。本当はインドア派。
最近釣りも始めて休みがいくらあっても足りない。夢は定年退職。
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