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#8 いわて里山散歩|2024年7〜8月の画像
#8 いわて里山散歩|2024年7〜8月
2024.09.02
里山大好きライターの不定期連載「いわて里山散歩」。
今回は7〜8月の里山の様子を過去の情報も交えてお届けする。
※天候や大人の事情で更新が滞る可能性があります。ご了承ください。
※筆者はきのこ/山菜の専門家ではありません。この記事の情報だけできのこ/山菜の同定を行うのは絶対におやめください。
ライター:イグチ アイコ
今年の夏も殺人的な暑さが続いているが、皆さんどのように過ごしているだろうか?
私は暑さに負けず毎週休日には山へ海へと飛び出しているので気付いたのだが、8月17日を境に空気がガラリと変わるのを感じた。
暑いことには変わりはなく、何が変わったかは言葉にはできないのだが……外全体の気配のようなものが秋に1歩近付いたという感じだった。上の写真はその日の様子。
まぁその後、台風の影響などで梅雨のような湿気が戻って来てしまったので、快適に過ごせるのはまだ先になりそうだ。

そして夏のキノコをたくさん紹介しようと意気込み、汗だくになりながら夏の散策も続けていた筆者だったが、残念ながら空振り続きであまり目ぼしいものを見つけられなかった。
ということで今回は最近の里山の様子だけではなく、過去数年の写真も交えて夏キノコをメインに語ろうと思う。
夏に見つけられるキノコの話
一般的にキノコの季節は秋とされているが、日本で好んで食べられているキノコが秋に生えるものがほとんどというだけで、夏にもキノコはたくさん生えている。
夏のキノコを調べていくと、日本では馴染みがないが欧米では一般的だったり重宝されているようなキノコが結構日本でも生えていることを知ったのだ。

中でも特に、夏になると筆者が見つけたくてソワソワするのは「ヤマドリタケモドキ」「ムラサキヤマドリタケ」「アカヤマドリ」という3種のイグチ科のキノコ。
ヤマドリタケモドキ
2021年撮影
まずヤマドリタケモドキだが、「モドキ」が付かない本家ヤマドリタケは実は日本でも一般的に知られているキノコ。「ポルチーニ」と言われれば、聞いたことがあるのではないだろうか?
日本によく生えているのはモドキの方で、本家ポルチーニに比べると香りが弱いらしいが、乾燥させれば香りが強くなり十分美味しく食べられる。
よく似たドクヤマドリという毒キノコがあるので注意が必要。
ムラサキヤマドリタケ
2020.8.1撮影
ムラサキヤマドリタケはその名の通り、ヤマドリタケの紫色バージョン。外側の色も驚きだが、若い個体を割くと中身は真っ白なのでさらに驚く。
ヤマドリタケよりも美味しいと言われているようだが、今までに2度ほど単体でしか見つけたことがなく、まだ味の違いまで分からない。いつか同時に複数見つけて食べ比べてみたいものだ。
アカヤマドリ
2021.7.22撮影
先の2つより大型で傘のひび割れが特徴的なアカヤマドリ。山の中で大きく開いたものを見つけるとかなりインパクトがある。
地方によっては「アンパン」と呼ばれているようだが、岩手でアンパンといえばヌメリイグチの仲間を指すし、見た目もそちらの方がアンパンに似ていると思う。我が家ではこちらはメロンパンと呼んでいる。
ここまで大きくなったものは大体虫が入ってしまっているが、虫出ししてからオイル漬けにしてパスタに入れたりするととても美味しい。

筆者の目当ては以上の3つが主だが、世のキノコ好きが一際注目している夏キノコは「タマゴタケ」だ。
タマゴタケ
2020.7.18撮影
こちらがそのタマゴタケだが、まずなんと言っても見た目が良い!!
色が鮮やかで形も良く、群生していることも多いのでまるで絵本の中に居るような気持ちになる。
そしてこのキノコ、人によっては「マツタケより美味しい」なんて評価されるほど美味…とされている。私はウニに似ていると思った。
残念ながら私はそもそもウニの味が苦手なのと、体質にも合わなかったらしく消化不良を起こしたので、以後は写真を撮るためだけに探している。食べられなくても見つけると凄く嬉しい。

危険な毒を持つものが多いテングタケ科の中で、数少ない食菌であると共に見分けがつきやすいところも嬉しいポイント。
ただ、状態によってはベニテングタケタマゴタケモドキといった毒キノコと似る可能性もあるので過信しないように。
チチタケ
2024.8.11撮影
こちらは以前にも紹介したことがあるチチタケ。特に栃木では「チタケ」と呼ばれて愛されている…と言われているキノコ。
ちたけうどん(そば)」という郷土料理があるそうで、わざわざ栃木の人が岩手まで採りに来ていたという話も聞いたことがあるが、私が栃木の人に聞いたところチチタケの存在も知らないようだったので、栃木の中でもごく一部の地域だけで愛されているのかもしれない。

キノコ自体はガッチリしていて乾燥気味のものはまるでプレッツェルで出来ているかのよう。傷ついたところから白い液体が出てくるのが名前の由来。
この白い液体からは魚介のような香りがして、良い匂いなのだがかなり強烈。おまけにゴムの樹液と似た成分らしく一度付いたらなかなか取れない。採取の際は軍手が必須だ。
ハナビラタケ
2020.9.6撮影
その名の通りヒラヒラとした見た目が美しいハナビラタケ。
私が初めてキノコを探してみようと1人で自宅の裏山に入った際に見つけた思い出深いキノコで、両手で抱えるほどのボリュームだった。その時は10月だったのだが、SNSなどを見ていると夏に写真をあげている人が多い。
コリコリとした食感が魅力で、スープに入れると高級中華料理を食べているような気持ちになれる。健康食品としても注目されているようだ。
アンズタケ
2024.8.18撮影
色が杏に似ているからアンズタケと思いきや、なんと由来は香りから。
杏自体に馴染みがないので似ているのかは分からないが、確かにフルーティーで爽やかな香りがするキノコだ。
フランスでは「ジロール」と呼ばれて人気が高いキノコ。しかし日本のものは毒成分が含まれているそうで、図鑑によっては毒キノコとして扱われていることもある。
私は群生するポイントを知っているので毎年花畑のような光景を楽しんでいるが、味見程度にちょっと採取するだけに留めている。今のところ命に別状はない。
タモギタケ
2022.7.3撮影
春から初秋頃まで長期間繰り返し発生するキノコで、実は今年の春にすでに見つけている。だが、今年はまだ上の写真のような美しい状態には出会えていない。
例年だと2〜3回大量に発生しているところに遭遇するので、一度うっかり採りすぎてしまった際に長期保存用に乾燥してみたことがあるのだが、このキノコは乾燥させるとゴムのように固くなってしまってダシ用にしか使えないことが分かった。やはりいくら楽しくても採りすぎは良くない。
ただ、ダシだけでもとても美味しかった。
その他見た目が楽しい夏キノコ
2024.8.18撮影
こちらの鮮やかな色と模様が美しいキノコはアイタケ
キノコを探すようになるまで存在も知らなかったが、実は公園や駐車場脇の植え込みなど人がよく通る場所でも見つかる身近なキノコ。
小さい頃はこのように半ば地面に埋まっている状態のことが多いので、よーく見ないと小石にしか見えない。
見つけてみたいという人は、地面にかじりつこう。

先に紹介したヤマドリタケ類の他にも、夏はいろんなイグチに出会える。
そのままでも面白い色をしているものがたくさんあるが、傷や圧迫されたところが青く変色する種も多く存在する。
SNSなどでよく見る、傘裏に文字を書くといった変色のさせ方をすればもっと映えたのだろうが……ナイフで切るか杖で突くしかしていなかった…。洒落っ気のない人間で申し訳ない。
2024.8.11撮影
このかっこいい見た目のものもイグチの仲間で、オニイグチモドキという。
よく似た「オニイグチ」もあるそうだが、今のところ筆者が見つけたことがあるのはモドキの方だけ。
美味しいキノコらしいのだが、こうして複数本生えていることは稀らしく、いつも1本だけで孤高に生えているところにしか遭遇できないのでまだ味の良さまで確認できずにいる。
この写真の日は初めてまとまって生えているのを見つけられたのだが、観光地の自然公園だったので写真だけ撮らせてもらった。
2020.7.5撮影
この妙な形のキノコはサンコタケ。密教法具の「三鈷杵」が由来で名前はかっこいいのだが…
こいつはめちゃくちゃ臭い!!!!
今までいくつか臭いキノコに出会って来たが、今のところこいつがダントツで臭い。ハッキリ言ってウ◯コそのもの。
今年初めて見つけたキノコ
2024.8.18撮影
夏はイグチ科、ベニタケ科、テングタケ科のキノコがよく目に付くが、特に「いかにも毒キノコです」といった雰囲気のテングタケ科が必ずと言って良いほど生えているので、「これもその中の1つだろう」と軽い気持ちで写真を撮ったもの。
その日の夜にSNSを眺めていたところ、そっくりなキノコの写真をあげている人がおり、どうやら「ハイカグラテングタケ」という中国では食用とされているキノコだったようだ。
食べてみたいとは思わないが、名前がかっこいいのでこれからは注目しておこう。
2024.8.17撮影
こちらはスポンジのように柔らかく、よく見るとポツポツと空いた穴に水滴が溜まった謎のキノコ。
海外の有名なキノコで「ブリーディング・トゥース」と呼ばれる、この水滴の部分が真っ赤なすごい見た目のキノコがある。そいつは「イボタケ目・マツバハリタケ科・チャハリタケ属」ということなので、その線で調べを進めてみたところ……
2024.8.17撮影
もう1つ同じ日に撮影していた、こちらの不明菌にそっくりな写真がヒットした。
どうもこちらこそが、チャハリタケの仲間のようだ。
結局、先のスポンジキノコの正体は見当もつかないままだ。
夏キノコの難しさについて考える
不甲斐ない結果となった今年の夏だが、単にキノコが不作だったというわけではないと思う。私は出会えなかったが、父はタマゴタケの群生を見ることができた。
夏キノコは他の季節に比べてタイミングがシビアなのだ。

その理由として考えられるのが、まずはキノコ自体の成長が早いこと
数年前、早朝に左の状態のタマゴタケを見つけ、その日の夕方にもう一度家族を連れて見に行ったところ、すでに右の状態になっていたことがあった。
タモギタケでも、豆粒ほどの大きさのものを5日後くらいに見に行ったら既に老菌になっていたことがある。
種類にもよるだろうが、秋に幼菌を見つけたら1週間後に行っても間に合うことがほとんどなのに。

また、キノコだけではなく他の生き物も活発なことも原因として考えられる。
夏はこんな感じにカビてしまったものをしょっちゅう見かける。
まだあまり大きくないのに、虫に食われてグズグズに崩れてしまっているものも多い。
カビや虫から逃れたものはこんなに巨大化することもあるので、それもまた夏キノコの楽しさの1つではあるのだが。

年々夏の暑さが厳しくなり秋キノコも出遅れがちなので、諦めずにまだ夏キノコを探していこうと思う。
オマケ:庭の様子
以前の記事で書いた、我が家の庭のイチジクミョウガのその後について。
まずイチジクだが、写真だと分かりづらいがかなり大きくなった。
去年はそのまま熟れるのを待っていたら腐ってしまったので、早めに摘み取って冷蔵庫で追熟させてみたところ…
見事美味しくいただけました!
今まで甘露煮しか食べたことがなく苦手だったのだが、そのままだと爽やかで程良い甘さだった。

そしてミョウガだが、実はうちには夏ミョウガ秋ミョウガの2種類があったらしく、ちょうど夏ミョウガの花が咲いていると聞いて見に行ったところ…
な、何コレ……
今まで気付いたら食卓に並んでいたので、恥ずかしながら自分で採取したことが無く、普通に伸びて葉が生えている辺りから花が咲くものだと思っていた。
その衝撃を父に伝えたところ、実家が農家の父にとっては当たり前のことなので逆に驚かれてしまった。
それともこれって一般常識…?
私のようにスーパーに並んでいるような状態しか見たことが無い人は、知らない人が多い…のではないだろうか…。そうだと思いたい。
イグチ アイコの画像
岩手で生まれ、岩手で育ち、岩手の野山でキノコなどを探して徘徊している妖怪。主に山の話をします。本当はインドア派。
最近釣りも始めて休みがいくらあっても足りない。夢は定年退職。
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