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#7 いわて里山散歩|2024年6月の画像
#7 いわて里山散歩|2024年6月
2024.07.01
里山大好きライターの不定期連載「いわて里山散歩」。
今回は6月の里山の様子をお届けする。
※天候や大人の事情で更新が滞る可能性があります。ご了承ください。
※筆者はきのこ/山菜の専門家ではありません。この記事の情報だけできのこ/山菜の同定を行うのは絶対におやめください。
ライター:イグチ アイコ
6月前半の里山の様子
まだ山奥の方では、主に根曲り竹を目当てに入山した人々の遭難やクマの被害のニュースが続いているが、里山では4〜5月の山菜ラッシュは終わり、穏やかな雰囲気となった。
しかし、6月でもまだ採れる山菜は残っている!

その名はミズ

産直などでも売られているので、割とメジャーな山菜だろう。
メジャーとはいえ私は以前、ミズを採取する際には山奥の渓流沿いまで出向いていた。身近な場所でも見かけていたが、量が少なく、細い貧弱なものばかりだったからだ。
ところが最近になって、すぐ近場に質の良いミズが大量に生えている場所を発見したのである。
山の方に住んでいる人や、よくドライブする人ならば、峠を越える際にこのような場所を目にしたことがあると思う。
ここは「旧道」。新しい道が出来て使われなくなり、アスファルトを残しながらも草木に侵食された道の跡だ。
ある日の散歩中、私は「この道を進んだらどこに出るのだろう?」と興味が湧き、入ってみることにした。
すると......
なんとそこには、山奥にも負けないほどの太さもあるミズ畑が広がっていたのである!

ちなみに「ミズ」というのは方言で、正式名は「ウワバミソウ」という。「ウワバミ」というのは大蛇のことであり、蛇といえば水神と深い関わりがある。
名前の由来も蛇に似ているとかではなく、蛇が好む暗くてジメジメとした場所に生えるからということのようだ。
さらに山奥で見かけるものは、岩が多い場所など、あまり地面が水を吸わないような環境のことが多いように感じる。

これらを踏まえて、先ほどの旧道の環境を改めて見てみると、左右を森に囲まれて常に暗く、森から染み出した水でジメジメとしており、その水をアスファルトが地面に吸収されるのを防ぎ、坂道なので雨が降れば川のようになる。という、どうやら渓流沿いとよく似た環境なっているらしい。
パッと見は負の遺産のようなこの場所を、宝の山に変えてしまう自然のたくましさに感動した。
採取したミズの下処理をしていると、小さい花のようなものが付いていることに気が付いた。
ちょうどこの花がある辺りに、秋になるとムカゴが付く。私は茎よりもこのムカゴが大好物なので秋が楽しみだ。
茎の根本が赤くなっているものを「アカミズ」、赤くならないものを「アオミズ」と呼ぶそうなのだが、私はアカミズしか見つけたことがない。
以前、全国区の番組を見ていたところ「幻の山菜」としてアカミズが紹介されていた。
幻しか生えない地、岩手...。都会の人から見れば、東北地方そのものが幻なのかもしれない。
続いてタケノコの話。
筆者宅周辺にはあまり竹林が無い。笹薮は山ほどあるのだが。
そのため、タケノコは遠出して採りに行く根曲がり竹と、毎年親戚から届けられる孟宗竹しか知らなかった。
数年前の6月、いつものように放置林を散策していると...
こんな感じにニョキニョキとタケノコが生えていてびっくり。手入れされていないので見づらいが、よく見ると奥の方にもいっぱい生えているのが見えるだろうか?
調べたところ、これは「淡竹(ハチク)」という種類のタケノコらしい。孟宗竹よりもアクが少なく処理が簡単で、十分に美味しいタケノコだ。
沿岸の方にドライブすると、似たような細めの竹林が民家の庭などにたくさんあったので、地域によっては特に珍しくもないのかもしれない。
こちらは田舎の子供の定番おやつ「桑の実」。
学校帰りに指を紫に染めながら夢中で食べたのが懐かしい。
まぁ、今でも見つけたら食べているのだが。今の子供も食べているのだろうか?
左:スイバ 右:ワラビ
前回の5月の記事で登場したスイバとワラビはこんな状態。
スイバには何やら実のようなものが付いていて、大きなペンペン草のようだ。
ワラビは5月からずっとこの状態なのではなく、これは最近新たに生えてきたもの。草刈りをすれば繰り返し生えてくるので、夏になってもワラビを採っている人も居るそうだ。
山道を進みながら、ふと視線を落とすと...
地面に星空が広がっていた。
見上げると清楚な花が咲いていた。「エゴノキ」という植物らしい。
昔はこれの若い実を石鹸のように使っていたこともあるのだとか。
その近くに似たような白い花で、中心がごま塩のようになっているものも見つけた。スマホで調べると「サルナシ」と出た。お、聞いたことがある。
別名は「コクワ」。ああ!あのキウイのような実が付くやつか。父がよく採って来る。
ということは、秋にもここに行けば実が見つかるかもしれない。楽しみが増えた。
こちらの花は和名で「ヒレハリソウ」というが、英名の「コンフリー」の方が馴染みがあるのではないだろうか?
まだ山菜の大人の味が分からなかった頃は、春の天ぷらはコンフリーの葉が一番好きで......
と、改めてコンフリーについて調べてみたところ.........

健康被害が生じるおそれがあるため、食用にしてはならない。

え!?!?!?普通に食べていたが???????
両親に聞いても知らなかった。他にも知らずに食べている人が居ると思う。ご存知だっただろうか?
あんなに美味しいのに...これはショックだ。これからは数枚だけ食べよう。
他にも里山は花でいっぱい♪
かわいいマルハナバチもいっぱい♪
6月後半の里山の様子
この日はあるものを目当てに、近所の遊歩道がある森林公園を散歩して来た。(と言ってもあまり管理されていないので、ほとんど自然の山道のような場所だが)
その目当てのものとは...
美しい〜〜〜!!!日の光が当たるとまるで宝石!!
そう、「キイチゴ」である。ちなみにこのオレンジのタイプは「モミジイチゴ」というらしい。
今年は全然雨が降らず、庭のワイルドベリーもあまり実を付けなかったから見つかるか心配だったが、無事に見つけられて一安心。
しかし、去年はこの近くに赤い色のキイチゴもあったのだが、そちらは見つけられなかった。まぁ、オレンジの方が美味しいから良いか。
ちなみにこれは「ヘビイチゴ」。小さい頃は「毒だから食べちゃダメ」と教えられていた。
だが実は毒は無いらしい。食べても美味しくないだけ。
こちらは「グミの実」だ。子供の頃からずっと不思議だった。「なぜグミなのか」と。全然弾力も無いのに。
調べてみると、お菓子のグミとは全然語源が違うようだ。お菓子のグミはドイツ語のゴムから来ていて、植物のグミは日本の言葉らしい。
ただその由来は諸説あるとのこと。トゲのことを「グイ」と言い、トゲがある木になる実だからグイミ→グミになった...などなど。
ところでこの季節、山道をドライブしていると、青々とした木々の葉の中に白いものが混ざっているのを目にする。
その正体は主に2種類。
1つ目はこちらの「ハナミズキ」。某有名歌手の歌で名前は知っている人も多いだろう。
庭木や街路樹としてもよく見かける。そちらはピンクのことが多いが、自然界ではほとんど白いような気がする。
もう1つはこちらの「マタタビ」。猫が酔っぱらうというアレだ。
遠目だと花かと思うが、こちらは葉の一部が白く変色したもの。
いつもは遠くから眺めるだけだったが、近くで見ることが出来たので近寄ってみると...
葉の陰にこんなにキレイな花が隠れていた。
しかもすごく良い香り!!これには猫じゃなくてもうっとり。
これは民家の庭などでもよく見かける「オダマキ」の花。山の中で見るのは珍しいと思って撮ったのだが...
スマホの写真から調べる機能を使ったところ「ミヤマオダマキ」と出た。そこで「ミヤマオダマキ」を調べると、「岩手では絶滅危惧種」という情報が出てきた。ええ!?
しかしさらに調べると、ミヤマオダマキは高山帯の草原などで見られるとのこと。じゃあ...違う...かな?
だが筆者宅周辺は、標高1000m以上に発生すると言われているようなキノコが普通にあったりするので、なんとも......
こちらはゆめかわカラーが可愛くて撮った花だが、調べると「コアジサイ」と出た。へぇ〜アジサイの仲間なのか。
しかしコアジサイの分布は関東より西らしい。あまり手入れされていないとはいえ公園なので誰かが植えたのか、温暖化で東北にも生えるようになったのか、そもそも違う種類の花なのか。果たして。
さらに進んで行くと池があった。
ちょうど睡蓮の花が咲いていて、絶好のタイミング。
一応記事に載せる花は一通り調べるようにしているが、これはさすがに分かる。蓮と睡蓮の違いくらい私にも分かる。
と思いながらも調べてみると、出て来た名前は「ヒツジグサ」。
.........知らない子ですね.........。
オマケ:庭の様子
先月、花から実へと変わったブルーベリー。
このペースなら当然、6月中にいっぱい食べられると思っていたのだが、そこからが長かった!
左:2024.6.16撮影 右:2024.6.23撮影
まだ、ようやく何粒か食べられそうな色になって来たというところ。
しかし今年はいつもより実がたくさん付いているので、もうすぐ食べ放題である。
イチジクは......今月もほとんど変化が見られなかった。
それもそのはず、イチジクはまだ花の季節で、この実の中に花があるのだそうだ。熟し始めるのは秋頃とのこと。
6月も終わろうという頃になって、やっと雨が降り始めた岩手。
次回はキノコも見つかることを願う。
イグチ アイコの画像
岩手で生まれ、岩手で育ち、岩手の野山でキノコなどを探して徘徊している妖怪。主に山の話をします。本当はインドア派。
最近釣りも始めて休みがいくらあっても足りない。夢は定年退職。
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