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#9 いわて里山散歩|2024年9月の画像
#9 いわて里山散歩|2024年9月
2024.10.08
里山大好きライターの不定期連載「いわて里山散歩」。
今回は9月の里山の様子をお届けする。
※天候や大人の事情で更新が滞る可能性があります。ご了承ください。
※筆者はきのこ/山菜の専門家ではありません。この記事の情報だけできのこ/山菜の同定を行うのは絶対におやめください。
ライター:イグチ アイコ
稲刈りが進み、農村らしいのどかな風景が広がる9月の岩手。
しかし平和なのは見た目だけ。1日の中で10℃以上も気温差がある日が続き、毎日がサバイバル。体調を崩してしまった人も多いのではないだろうか?
筆者も風邪をひくかひかないかの瀬戸際を反復横跳びしており、少し更新が遅くなってしまったが、山では楽しいものをたくさん見つけることが出来た。
9月に見つけたキノコ
前回、夏に夏キノコを見つけられないという不甲斐ない結果となったが、その記事をアップした直後の週末、ようやく求めていた夏キノコたちが出て来てくれた。
まずはヤマドリタケモドキ
こんなに柄の網目模様がハッキリとしたものに出会えたのは初めてで、思わず歓声をあげた。
新たな発生ポイントも見つけ、今年は今までで一番の発見数となった。
続いてアカヤマドリ。こちらも大変キレイな状態。
去年この時期に発見した場所に今年も行ってみたところ、狙いが当たって何本か見つけられた。
予想外の出会いの方がサプライズ感があってテンションが上がるが、予想が当たるのも経験値が上がっているのが実感できて嬉しいものである。

この2つのキノコについては、前回詳しく紹介しているので気になる方はそちらを読んで欲しい。
先の2つはどちらもイグチ科のキノコだが、他にも色とりどりのイグチ科が大発生。
おそらく食べられないので採りはしないが、撮る手が止まらない。
ホウキタケの仲間もよく目にするようになってきた。
この2つは毒があるタイプで、おそらくハナホウキタケかコガネホウキタケあたりだと思う。
こちらが食べられるホウキタケ。歯切れが良くとても美味しいキノコである。
先の食べられないものは根元の方から枝分かれしているのに対し、こちらは根元が太くゴロッとしている。
こうして写真を並べて見ると違いが分かりやすいが、山の中で直に見ると結構迷う。まだまだ修行が足りない。
美しい色のこちらはムラサキホウキタケ
名前に「ホウキタケ」と付いているが、ホウキタケ属ではなくシロソウメンタケ属とのこと。
食べられるという情報もあるのだが......そもそも食べるほどの量で生えている状態を見たことがない。
こちらは夏場によく見かけるサマツモドキというキノコ。
かつては食用にされていたそうだが、中毒例があり美味しいわけでもないそうなので、食べない方が無難。
そしてこのキノコ、実物を見て名前を調べた人はみんな騙されるのだ。

「あ〜、傘の表面が赤紫色で裏が黄色くて、サツマイモみたいだからサツマモドキなのね!」

もう一度名前をよく見よう。「サツマモドキ」ではない。「サマツモドキ」である。
ま、紛らわしい〜〜〜〜〜〜〜。
じゃあ「サマツ」って何なんだ。「モドキ」ってことはモドキじゃないのがあるんだろうか。そう思って「サマツタケ」で調べてみたところ、早い時期に生える松茸のことを「サマツタケ(早松茸)」と言うらしい。
.........いやぁ〜松茸には見えない!!全くもってモドけてない!
結局「サマツ」が何なのかは謎のままである。
この木の実か花のように見えるものもキノコで、ツチグリの仲間。
本家ツチグリはもっと不気味な見た目で(子供の頃に見つけて怖かった)、てっきりそれの幼菌だと思ったのだが、幼菌は全然違う見た目だった。ヒメツチグリ科のどれかだと思う。
こちらはトキイロラッパタケ。名前はラッパタケだが、前回紹介したアンズタケの仲間だ。
とても小さく、森中に大量に生えていたので今まであまり気に留めていなかったのだが、去年お世話になった「きのこや おいよ」さんがテレビで採取されているのを見て、今年は少し採ってみることにした。
アンズタケ同様にフランス料理で使われているキノコで、バターのような香りがするとのこと。パスタや炒め物に少し使ってみたが、確かにコクがある風味がした。
こちらのトゲトゲしたのはシロオニタケというキノコだが、幼菌から老菌まで様々な状態でたくさん生えてて目を楽しませてくれた。
いっぱい撮ったので......
せっかくだから「九相図」にしてみた。
ちなみに九相図とは死体が朽ちていく経過を描いた仏教画のこと。なかなかリアルでショッキングな絵なので調べる時は要注意。
そんな九相図もシロオニタケなら可愛らしい。特に幼菌はツボより傘の方が小さくて雪だるまのよう。
秋のオススメ山の幸「ミズの実」
秋に山に行く目的といえば、思い浮かべるのは「キノコ採り」と「クリ拾い」ぐらいかと思うが、もう1つオススメのものがある。
今年の6月の回で「ミズ」という山菜を紹介したが、そのミズが秋になると実を付けるのだ。
こちらがそのミズの実。正確には実ではなく「むかご」である。
これがシャキシャキとポクポクの間ぐらいの食感で、噛むと少しとろみがあって、とても美味しい!
割と簡単に見つかり、安定してたくさん採ることが出来るので、キノコのような宝探し的な楽しさはないのだが、食材としてはキノコより好みだ。
採取したものは葉を落とし、洗って汚れも落とした後、サッと1〜2分茹でてやるとこのように色が変わる。
これを煮沸消毒した瓶に隙間なくみっしりと詰めて、白だしや浅漬けの素とかで漬けておけば保存も出来るし、すぐに料理に使うことが可能だ。
そのまま食べても良いし、味にクセはないので何に入れても美味しいが、私が特に好きな食べ方は大根おろしと里芋と和えたもの。彩りとしてオクラや菊の花を混ぜるとなお良い。
和える際の味付けはお好みだが、うちでは「カンタン酢」を使う。料亭で出てくるような上品な一品になるのでオススメ。

山菜としてのミズはよく産直などで見かけるが、実の方はほぼ見たことがない。こんなに美味しいのに。
身近にミズがあるという人は、ぜひ試してもらいたい。
9月に見つけた木の実
高い場所にあったのでキレイに撮れなかったが、ヤマブドウを見つけた。
酸味が強いのであまり好んで食べないが、一粒一粒がハッキリとしたフォルムがとても美しい。
こちらはクリかと思いきや、トチの実とのこと。世代によっては「モチモチの木」と言った方が馴染み深いかもしれない。
アク抜きがとんでもなく大変なようなので食べたことはないが、いつかたくさん落ちてる場所を見つけたらチャレンジしてみようかと思う。
これはカヤの実というそうで、実の中の種子の殻を割って、アーモンドのように炒って食べるそうだ。父は子供の頃に採って食べていたとのこと。
だがこちらも食べるまでの工程が大変そうだ。
この面白い形のものはツリバナ
名前の由来はこの釣り下がった状態から来てるそうだが、これは花ではなく実で、花は別に釣り下がってはいないようだ。
かんざしのようでとても美しいが、実には毒があるとのこと。
普段は気に留めていなかったドングリなんかも撮ってみた。うーんとってもジブリィ。
以前旅先でドングリのジェラートを食べたことがあり、とても美味しかった。また食べに行きたい。
9月に見つけた花
去年の9月末、十五夜にチャレンジした時には見つけられなかった野生の桔梗が見つかった!!
岩手では十五夜より少し早いタイミングで咲くのかもしれない。くぅ〜悔しい!
他の秋の七草たちも、今年も元気に花を咲かせている。特に葛。
「黄色い葛がある!」と思って撮ったこちらは、調べてみたらどうやらアズキの仲間のようだ。
9月は他にもいろんなマメ科が花を咲かせている。
以前自宅の庭で見つけたホトトギスに似た花を山の中で見つけた。だが色や形など、庭のものとはだいぶ趣が違う。
ホトトギスにもいろんな種類があるようで、今回見つけたのは「ヤマジノホトトギス」という種が近そうだ。
こちらはニラの花。畑ではなく道端のニラ。花が咲くまで全く気付かなかったが、そこら中ニラまみれだった。
「食糧難の時代が来ても、ニラにだけは困らないな〜」なんて思いながら見ていたが、花がなければ見分けられないのでは意味がない。
スイセンと間違えて食べて死亡した例もあるようなので、その辺で採って食べるのはやめておいた方が良い。
花とはちょっと違うかもしれないが、この美しい植物はギンリョウソウ(銀竜草)という。なんと厨二心をくすぐるかっこいい名前...!!
だがその美しい見た目や名前に夢見ていると、生態を調べてガッカリするかもしれない。
自分では光合成せず、寄生した菌類や樹木から栄養をもらう、ヒモのような生活をしていたり、ゴキブリとズッ友だったり......
いや、そんなところも含めてこの植物の魅力だとは思うのだが、なるべくゴキブリとは...お会いしたくない。
幸い今のところ、恐ろしい状況には遭遇せずに愛でさせてもらっている。
オマケ:庭の様子
前回、ようやく庭のイチジクの実が大きくなって食べたことを報告したが...
イチジクラッシュ発生!!!!

食べるのが追いつかなくなるくらい、次から次へと実が大きくなり始めた!
父が知り合いから苗木をもらって植えてから4〜5年経つそうなのだが、去年まではこんなことはなかった。
いっぱい採れるので、最近はサラダにしてよく食べている。生ハムやチーズが合うが、私は特にカマンベールチーズがよく合うと思う。
今回はここまで。次回10月は今年もたくさんの秋キノコと出会う様子を届けられると思う。
なぜならもうすでに出会っているからだ。今年は秋キノコ、豊作ですよ。
イグチ アイコの画像
岩手で生まれ、岩手で育ち、岩手の野山でキノコなどを探して徘徊している妖怪。主に山の話をします。本当はインドア派。
最近釣りも始めて休みがいくらあっても足りない。夢は定年退職。
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